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桃×黒編 ―「主従を越えて」
魔界の鍛錬場。
黒は黙々と剣を振っていた。
その背に、桃がふらりと現れる。
「よ、アニキ。……またひとりで修行?」
「お前に言われたないわ」
「俺、あんたのことずっと見てたよ」
黒の手が止まる。
「……なんやて?」
「ずっと背中ばっか見てた。強くて、誰よりも正しくて。……でも、近寄れなかった」
「今も近寄れてへんやろ」
「そう?俺、今、めっちゃ近くいるけど」
言いながら、桃は黒の手を取った。
「アニキ。命張って守ってくれたあの日から、俺……惚れてんの」
黒の目が揺れる。
「……お前、ほんまに、アホやな」
「アホでもいい。アニキの隣にいたい」
しばらくの沈黙。
黒は桃の手を強く握り返した。
「しゃあないな……ほな、お前も、俺のもんや」
「やったぜ」
――主従を越えたその想いは、ようやく“恋”になった。