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雫
32
🎀もちたん🎀
5,424
「――M!LK、スタンバイお願いします!」
割れんばかりの大歓声が、厚い防音扉の隙間からステージ袖へと地響きのように伝わってくる。
今日は、彼らにとって過去最大規模となるアリーナツアーの最終日。
会場を埋め尽くす超満員のファンの熱気が、開演前から会場全体を包み込んでいた。
💛「よし、行こう。いつも通り、最高の景色をみんなで作ろう」
仁人がメンバー全員の顔を見渡しながら、力強く声をかける。
その瞳には、かつて孤独や恐怖に怯えていた面影は微塵もない。
勇斗の『番』となり、心身ともに完璧な安定を得た仁人は、今やオメガの持つ天性の艶やかさと、リーダーとしての気高さを兼ね備えた、唯一無二の存在感を放っていた。
🩷「おう! ぶちかまそうぜ!」
勇斗が不敵に笑い、仁人の背中を軽く叩く。
その瞬間、二人の間に流れる空気がピタリとシンクロした。
ステージの床がせり上がり、眩いレーザー光線と爆音のイントロとともに、5人は光の海へと躍り出た。
地を揺るがすような大歓声が彼らを迎える。
🤍(――すごい。今日の二人の空気、いつもと全然違う)
ダンスの激しいフォーメーションの中で、背中合わせになった柔太朗は、息を呑みながら二人を見ていた。
番となった勇斗と仁人のパフォーマンスは、これまでのM!LKの常識を遥かに超越していた。
お互いの位置や呼吸を、目で見ずとも、肌に触れずとも、まるで一本の目に見えない糸で繋がれているかのように完璧に把握し合っているのだ。
勇斗がダイナミックなステップで魅せれば、仁人はそれに引きずられることなく、むしろそのエネルギーを吸収して、よりしなやかで美しいダンスで応える。
二人のフェロモンは完璧に溶け合い、ビターで甘い紅茶の香りと、深く包み込む森の香りが、ステージの上に目に見えない気高いオーラとなって立ち上っていた。
それは、βのメンバーやファンには直接匂いとしては分からなくても、「誰も追いつけない圧倒的なカリスマ性」として、会場全体を支配していく。
❤️「太ちゃんもっとテンション上げていくよ!」
舜太が弾けるような笑顔でステージを駆け抜け、太智が「任せとけ!」とアクロバティックな動きで客席を煽る。
二人の完璧な調和に引っ張られるように、太智も、柔太朗も、舜太も、これまでにない最高のパフォーマンスを引き出されていた。
5人の個性がぶつかり合い、共鳴し、M!LKという一つの巨大な音楽になっていく。
そして、ライブのハイライト。
勇斗と仁人のダブルセンターによる、情熱的なダンスナンバーが始まった。
スポットライトが二人を真っ白に照らし出す。勇斗が仁人の腰を抱き寄せ、至近距離で視線を交わした。
その瞬間、衣装の襟元から、仁人のうなじに刻まれた勇斗の『番の痕』が、一瞬だけ汗に濡れて妖しくきらめいた。
🩷(お前は、俺のものだ)
💛(うん。僕は、君だけのオメガだよ)
言葉にしない本能の会話が、二人の動きをさらに鋭く、狂おしくシンクロさせる。
触れ合う指先、重なるステップ、すべての刹那が完璧な美しさで構築されていく。
客席からは、息を呑むような感嘆の嵐と、割れんばかりの悲鳴が沸き起こっていた。
誰もが、目の前で繰り広げられる「最強の二人」の輝きに魅了されていた。
曲のラスト、二人が背中を預け合い、天を仰いでポーズを決める。
アリーナ全体を包む拍手の渦の中で、勇斗は隣の仁人の手を、衣装に隠れて見えない位置でギュッと力強く握りしめた。
仁人はそれに応えるように、握り返す。
オメガの運命を受け入れ、アルファの愛に満たされ、最高の仲間に支えられたステージ。
そこは、かつて仁人が「すべてを失う」と恐れていた場所ではなく、勇斗と共に永遠に輝き続ける、二人にとっての最高の約束の場所だった。
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コメント
5件

たのしみ!

ここまでたどり着きました、おもしろすぎる、、、。
たのしみ、、、!!!!