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のんの
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恋に沈んでゆく月の水面が照らす
泡になって溢れる想いが浮かんで
言葉には出来ない愛を抱きしめて
ひとり海の底で眠るわ。
ー休日の夜ー
ブロロロ……
吉)「………。」
なんかぼーっとするな。窓を眺めていることすら辛いなぁ……
音が遠い。
全部の音が、波みたいに揺れて聴こえる……
吉)「っっ!!………は!、はやとっ!!??」
母)「なぁに?急にどうしたのよ」
……ゆりちゃんといる。
母)「もう、家つくよー」
吉)「あ。うん。えーと、あのさ、俺このままちょっと その辺ぷらぷらしてきていい?」
母)「いいけど…めずらしいわねあんた。気をつけてね」
吉)「…うん。ありがとう。」
ザザーッ、と波が引くたびに、
足元の砂が崩れていく。
家の近くには海がある。さっきも、通った道の近くに
そこに、勇斗とゆりちゃんの姿が見えた。
行っちゃダメだとわかってる。でも、気づけば体が動いていて、
お母さんにも、あんなことを言っていた。
ゆ)「ねぇ、?」
佐)「うん?どーしたのっ?」
ゆ)「私たち、来年も一緒にいよーね!」
佐)「……うん!大好きだよ。ゆりか。」
——勇斗の声が波の音で、少しだけ遅れて聞こえた気がした。
ゆ)「……!!!私も…だよ?💕」
………っ。なにしてんだろ。勇斗のことが気になってついてきて、、、
——ああ、やっぱり。
あいつは、ああいう場所にいるべきなんだ。
俺といるときと顔が全然違う。
恋に沈んでゆく。ゆっくりと。はやく、ここから離れないと溺れてしまいそうだ。
水面に映った月が、揺れている。
その光の中に、勇斗がいる。
——届かないな。……なんだか、夢みたいだ。
……ここにいたら、息ができない。
いつか戻れなくなる。
足が勝手に、勇斗から離れていく。
ー公園ー
吉)「んしょっと…」
ブランコなんていつぶりだろうか。
気づけばこの公園についていた。
、、、そういえば。小さいころに
吉)「勇斗とよく乗ったなぁ。」
?)「うんうん。おれも!覚えてるよ笑」
、、、すごく聞き覚えのある俺の大好きな。
今、一番聴きたくて、聞きたくない声がして振り返った。
吉)「はや………と?」
佐)「そうです!じゃじゃーん!✨勇斗です!!!笑」
吉)「……。」
嬉しいはずなのに。言葉がつまる。
吉)「…あ、あのさなんでこんな時間にこんなところにいるの?」
佐)「んー?あっ聞いちゃう??あのさ、さっきまでゆりといたんだよねー」
吉)「へー。」
佐)「それでね、ゆりが、ーーーーーーーーっていってて…」
、、、ああ。やっぱり、きこえずらい。
聞き取れなかったのか、聞こうとしなかったのかはわからない。
でも。今は、聞こえなかったことにしたい。
吉)「そう、なんだ… あのさ、」
佐)「うん?どした?」
吉)「……あのさ、勇斗。」
「俺、お前に——」
佐)「ん?なぁに?」
……違う。
今それを聞かれたら、言ってしまう。
風の音、ブランコの軋む音。いつもは聞こえないくせに、今はやけに耳に残る。
——言えば、終わる。
きっと、楽になる。
……それでいいのか。
……いいわけないのに。
やっぱり、言葉が出なかった。
吉)「ううん、なんでもない。」
佐)「そっか。じゃ、俺そろそろ帰るわ!仁人も風邪ひかねーうちに帰れよ!!」
吉)「…………。うん。勇斗もね。」
俺も、またね。って言おうとしたのに。
佐)「……………なぁ仁人?やっぱお前最近さ…」
吉)「??」
佐)「いや…あのさ……」
吉)「なーに?何もないならほら、そろそろ帰りなよ。」
「また学校でも喋れるでしょ。」
あ。でも、あれか。ゆりちゃんと喋るか……?まあ、なんでもいっか。
吉)「また月曜日ね!!」
「またね。」
佐)「おう…でも、ほんとに。なんかあったら言えよ?」
「…………じゃ、またな。仁人。」
吉)「うん、ばいばい。勇斗。」
言えないよ。だって、勇斗には心配かけたくないから。
想いが溢れる。浮かんでは消えてゆく泡になって。
言葉には出来ない。愛を抱きしめて
ひとり海の底で眠るよ——————
コメント
1件
うわ、めっちゃ切ない……「言えば終わる」って分かってて飲み込む仁人の心情、痛いほど伝わってきました。泡とか水面とか月のイメージが一貫してて、全体的に詩的で美しかったです。勇斗が「なんかあったら言えよ」って気づいてる素振り見せるのも胸にくるなあ……。この距離感、どうなるんだろう。