テラーノベル
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【あらすじ】
前話では、飢えの中で“捕食”のスキルを発現させたレンは、小動物を喰らいながらスライムとして進化し始めた。
生き延びる術を得たレンは、次なる行動を決意する。
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【本編】
「くそっ……今の俺には、何の情報もない……」
森の中を這うように進むレン。
捕食で体力は回復していたが、スライムという姿は小動物以下の存在。人間に見つかれば一瞬で潰される。
「とりあえず……街を目指すか。知識がなけりゃ、何も始まらない」
レンは匂いと地形の変化を頼りに、人の気配を探る。そしてついに、煙の匂いと馬の蹄の音を感じ取った。
「……キャラバンか?」
その集団は、数台の荷車と複数の傭兵に守られながら進んでいた。荷台の檻の中には、痩せこけた人影――奴隷たちの姿。
「……人買い、か」
レンは荷台の片隅、檻の中で膝を抱えるひとりの少女に目を奪われた。
長い銀髪、しなやかな耳。
“エルフ”だ――しかも年端もいかない少女だった。
「……!」
少女が何かに気づき、檻の外へ目を向けた。
その視線の先にいるのは、草陰に潜むスライム、すなわちレン。
“助けて”
声なき声が、レンの中に響いた気がした。
「……は?今の……俺に、テレパシー?」
いや、違う。ただの幻聴かもしれない。だがその目は確かに――生きることを諦めていなかった。
「……バカだな、俺。何してんだよ、こんなときに」
レンは荷車の進行方向を見据える。
。
「いいぜ、やってやろうじゃねぇか。
スライムだろうがなんだろうが、俺はもう――ただの“捨てられた存在”じゃねえんだよ」