男を殺す。
それが俺の役割、いや、宿命だ。
俺は獰悪なこの人間社会の中で一人の男を抹殺するのだ。
それは俺の最も大切なものを奪った。
だが彼はまんまとその罪をなきものにした。
彼は政府の犬だ。彼の家は上流国民である。
俺は下流国民、ただの一般市民である。
だが、革命というのはそういうものだ。革命は市民が起こすのだ。
俺は今年大学を卒業した。
彼を殺そうと思えば殺せる。だが、それでは私の気が収まらぬ。
どうせだったら永遠に恥ずべき者にさせるのだ。人間で1番獰悪な、魂にするのだ。
彼がもし、生まれ変わってもその恥は忘れられぬ、それほどの恥を彼に縫い付ける。
ここで少し、俺の奪われた者について語ろう。
彼女は俺の恋人であった。
彼女と俺は中学の時に出会った。
一目惚れであった。
俺と彼女はきっと、死ぬまで一緒であろうと信じた。
ある日、彼女は俺とのデートの待ち合わせをしていた。
そこに彼が彼女を近くのアパートに連れ込み、接吻をした。
彼はその直後、ナイフで刺し殺したのだ。
俺は彼女の死体を見た時、心を失った。
今、この状況を認めたくないような、そもそも信じれないような。
警察に彼は捕まったが、すぐに釈放され、この事件は迷宮入りということになった。
俺は何度も何度も警察に頼み込んだ。泊まり込んだこともあった。
だが、無駄であった。
もう人に頼ることをしない。
自分で殺すべきである。
彼を殺して、自分も死ぬ。
これは、俺の復讐劇。






