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グラウンドの奥にある野球部の小屋前で、必死に先輩に頭を下げて教えをこう小柄な子が見えた。
虐められているのかと逡巡したもののどうやら自主的に、教えを乞いている様だと思い至った。
熱心だなと思う反面白々しく思う。
胸の内で馬鹿にして横目で見ながら通り過ぎた。
翌日も同じ風景を見た18時を回ってそれなりに暗いのによく頑張るものだと思ったが、やはり、白々しく思った。
その後も同じ風景を1か月近く見る事なった。
果たして少年は上達したのか。
野球部のクラスメイトが辞めたと言っていた。
(直接聞いたのでは無く、たまたま聞こえてきた)
彼は一向に成長する気配が無かったようだった。
ポーズだけだったんだと思う。
一生懸命なポーズを取って、周りからも一生懸命だと思われる。
実際真面目だと思われていたようだが、周りの人間に言わせれば邪魔に違いなかった。(確かに同時に多くの人からは真面目だと思われていただろうが、それはその周りの人間も真面目意外に当てはめるべき言葉や概念を獲得していなかったのだろう。)
彼の目的は上達では無く、真面目だと一生懸命だと思われる事、ひいてはそれによって空っぽな自分を錯覚させたかった事だったのだから。
かつての自分の影を見るようでうんざりした。