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食べてもいないのに味のする食べ物なんてあるだろうか? この少女は一体何を見ていたのだ? 空虚な心を埋めるため、 自ら望んで孤独になったのか? 誰も知らないところで、ひっそりと息を引き取った少女……。
誰にも知られずに逝った最期の姿が、 まるで私自身であるかのように感じられて……。
そして私は、 自らの手で彼女の魂を砕いた……。
その行為が、彼女にとって救いになると信じて……。
「ねぇ、君はどんな死に方がしたい?」
少女は少し考えて答えた。
「お腹いっぱい」
その一言だけで十分だった。
満ち足りた表情を浮かべながら、 眠りにつく彼女を見届けてから 私は、その場を離れた。
まだ夜中だったが、眠れる気がしなかった。
寝床を出て、夜の街へ出る。
夜空に浮かぶ月だけが私の味方のような気になって、思わず笑ってしまう。
私にとって、月に照らされて輝く夜の街は、楽園そのものなのだ。
どこへ行くあてもなく彷徨いながら、 ふと思い立って、路地裏にある小さなバーに入ってみた。
薄暗い店内に、 カウンター席だけがポツンとあるバー。
その奥でグラスを磨いている店主らしき人物。
この店は……
おそらく、そういう場所なんだろ? まぁ、お前さんのような客ばかりではないがね。
お得意様もいるし、常連の顔ぶれにも飽きずに済むよ。……それで、あんたが求めているのは、 どういう答えだい? 私にとって、それは……
私の願望……
つまり欲望そのものなのだと思う。
私が求めるのは、ただ一つだけ……。……ああ、それこそが私の望む全てであり、 私の存在する理由でもあるのだ。
妄想の揺らぎ……
求めていたもの……
そして、これから先への願い……。
誰かのためにではなく、 ただ自分自身のためだけに……。