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#ワンナイトラブ
殺したいくらい嫌いな人。人生に一人くらい、そういう存在がいるんじゃないだろうか。
まさか翌朝の営業部で、その最悪な過去と再会することになるとは。
「皆様、おはようございます。長く海外支社におりましが、本日より常務として経営にコミットさせていただきます、白石蓮です。私のミッションはこの会社の『停滞』を打破し、次世代のスタンダードへとアップデートすること。期待していてください」
185センチを超える長身に、ハーフの端正な顔立ち、隙のない笑顔。完璧に計算された笑顔を振りまく彼に、フロアの女子たちの呼吸が止まったのがわかった。
私は吐き気を抑えてその場を離れようとしたが、空気の読めない誰かの質問が、最悪の導火線に火をつけた。
「白石常務って、ひよりさんと同じ苗字ですよね。もしかして、ご親戚ですか?」
「……ああ、ひよりのこと?」
蓮は、まるで自分の所有物を評価するように笑みを浮かべた。
「彼女は私の従姉妹であり、老舗チョコレートメーカーである我が社、ブラン・ピエールの正統な後継者の一人。……そして、かつての私の婚約者。
社長の息子である私と、専務の娘である彼女が結ばれる。
それは感情ではなく、会社の未来を守るための最も美しい“統合(マージ)” なんだ」
そして彼(害虫2号)は明確に宣言した。
「彼女が私というハイスペックなパートナーを捨て、低価値な選択肢に流れることなどあり得ないと確信している。……ひより、早く私という『正解』の隣に戻ってくるといい。君というリソースを無駄にするのは、我が社にとって多大な損失だからね」
「専務の娘」「常務の元婚約者」という単語に、フロアがざわめく。
(……私には、陽一さんがいるのに。あんな男に、私たちの領域を1ミリでも浸食させるなんて、絶対に許さない)