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#ワンナイトラブ
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昔から、「専務の娘」というレッテルは私を透明な檻に閉じ込めてきた。出自を明かせば誰もが目の色を変え、媚びるか、一定の距離を置く。唯一の親友である真帆――同じく「大病院の院長の娘」という重荷を背負う彼女だけが、私の隣にいてくれた。
中高6年間、私は札幌の温室のようなお嬢様学校で、似たような環境の子たちとだけ過ごしてきた。けれど、大学で上京して環境は大きく変わった。都会になじめず、孤独の隙間に滑り込んできたのが蓮だった。甘い言葉に救いを見出したつもりでいたけれど、化けの皮が剥がれるのは早かった。
「君との結婚は、社長の座へ至るための最短ルートなんだよ」
愛などない、冷徹な野心の告白。さらに、私が唯一の逃げ場にしていたBLの世界を知るやいなや、彼はゴミを見るような目で私を切り捨てた。
「……気持ち悪い。専務の娘が、こんな下劣な妄想に耽っているなんて。お前とは、何もかも、一から十まで合わないんだよ」
あの日、私の心は一度死んだ。二次元の中にしか真実の愛はないと、心を閉ざした。けれど陽一さんは違う。私のBL趣味を受け入れて肯定してくれる。だから、出会ったあの日、私は決めたのだ。ありのままの私を愛してくれる人は、この先一生、彼以外に現れない。一生つきまとう「専務の娘」という檻から出られないのなら、陽一さんを私の檻に閉じ込めて、鍵をかけてしまえばいい。
(私、陽一さんと結婚して、死ぬまで私だけのものにするってずっと決めていたの。法的な婚姻という名の「独占契約」を結んで、私なしでは呼吸さえ苦しい身体に作り変えて……一生、私だけに依存させ、溺れさせてあげる。だから私たちの幸せを邪魔する害虫2号は今すぐ駆除しないとね。)
(1号・涼香は物理的な駆除、2号・蓮は社会的な抹殺……。手間がかかる分、2号の方がやりがいがあるかも♡)
私は偽りの笑顔を貼り付けたまま、この害虫2号を社会的に殺す方法を、真剣に100通り考え始めた。