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結局、なんの進展もなく四季町病院付近へ帰ってしまった。
人手を借りようにも、篠原(シノハラ)は。あいも変わらず、看護婦業に精を出しているようだし。夜勤の僕にとっては “頼る人間がいない”ことが、何より辛いことだ。まったく、どうしたらいいのやら。検討もつかない。
「ひとまずさ。BAR96を知っていそうな、あの女の子を探そうよ」
“あの”女の子か??
「そう。“あの”女の子」
16話で”あれだけのこと”をしときながら、なんだが。あんな性格のひん曲がったヤツに会うなんて。よく耐えられるな??
「・・ホントに。何したんだよ、あの子に?」
あ??えーと、な。”わからせ”ってヤツだよ。
「“わからせ”って?家庭教師のバイトとか??」
・・おまえ。ホント、純真無垢だな。
「は???」
いや、わからないならいいんだ。ケガレのない、綺麗なカンジでいてくれ。よしよし。
「さっきから。なんか、ヘンだよ?」
そうか??
「お兄ちゃん。誰と話してるの??」
ッ!!?
「あッ。えっと、イヤフォンで通話中で・・」
振り向くと、そこには“あの”少女が立っていた。信じられないが、“柑橘系”の悪趣味なグッズをぶら下げていることから、認めざるを得ない。16話で、あんだけヤバいコトしたのに。なんだ?じつは“ドM”だったとか、そういうオチか??
「冗談だよ。憑きモノ・・いや、えーと。“中の人”と話してたのは、知ってるんだから」
よしよし。大丈夫そうだな。
「久しぶり。あの後、大丈夫だった??」
「だ、大丈夫でしたよ・・」
・・いや、敬語まで使うようになってるし。あんま、“怖がらせる”つもりはなかったんだがなぁ。どうしたものか。たぶん、ボクなら大丈夫だろ。なんとか、懐柔(カイジュウ)してくれ。
「・・どんだけ酷いことしたんだよ。マジで」
「それはもういいの。それより、お父さんの調査、進んでる?どんな感じの進行状況??」
ああ、師匠のことか。進んでるように見えるか?解ってるくせに・・このーー
「あたしに勝ったら。ご褒美、あげる」
ーーは???
「えーと。つまり、どういうことかな??」
わかんねーよな。あの師匠の愛娘(マナムスメ)のいうことなんか。僕にゃ、サッパリだ。
「だから。戦いだよ?戦いゲームだよ。小さい子は、みんな大好きなんだよ??もシネ。あたしに勝ったら、“ご褒美”あげる」
「じゃあ。負けたら?」
・・おい。12才の最年少“陰陽師”で、あの天才陰陽師の娘って。スペックと才能的に、かなりヤベェ状況なんじゃーー
「ーー負けたら。今度は、ワタシが”わからせる”番だよッーーバァァァンッ‼︎‼︎‼︎‼︎」
「痛ッ」
肩に“ピリッ”と、小さな痛みが走った瞬間。すでに、そこに“ついているハズ”の左腕が“消えて”いた。斬られたワケでも、モガレたわけでもない。大した痛みはなく。ただ『左腕がない』という。気味の悪い視覚と感覚だけが、身体の隅々まで“ピリピリ”と伝っていった。とにかく、気色が悪い。
「ーー決めたんだ。”あんたら”だけは、ゼッタイに許さないーー。殺すけど、いいよね??」
もう。そこに、笑顔でカフェに座る、“柑橘系”ポシェットを下げた “少女の姿“ はなかった。