…教会で、静かに鐘が鳴る。
その鐘と同時に、俺のナイフを持った手が彼の首に振り落とされる。
そして、静かにその者の首を落とした。
鐘は、五月蠅く鳴り続けていた…。
その後、俺は根気強く調査をした。
無事、ドラケンくんも捕らえられ、死亡者数、柚葉さん達の保護もうまくいった。
そして、俺は今、最後にやらなくちゃいけない事、「玄の殺害」のために、当人の家にいた。
俺はそこに忍び込むと、静かに眼光を光らせ、部屋へと入っていった。
「やっほー、父さん…いや、玄。」
父さんは外を向いていた目をこちらに向けなおすと、少しにやけて言った。
「もう特定してきたか…。早いな。」
「だって、嫌でも血は繋がってるし。」
俺はそう言うと、ナイフを懐から取り出す。
父さんもほぼ同じ速度で胸ポケットから銃を取り出した。
「ナイフでは不利ではないか?」
父さんはそう言うと、少しだけにやけた。
「さあね。それはどうだろうか。」
俺はそう言ってナイフを投げる。
父さんはきれいにかわしたが、俺も策が無いわけではない。
そして、その策に引っかかってくれたのだ。
俺…の媒体は息を吸って全力で叫んだ。
「今だ!花垣!」
父さんは驚いていたが、勢いのつけすぎで正体をあらわにした春千夜くんを見てすべてを理解していた。
…ただ、それも遅い。
俺は窓から侵入しながら父さんの頭を撃つ。
そしてきれいに着地すると、父さんを睨んだ。
「…はは、今回は俺の負けだ、武道。」
父さんは俺に向かってそう言うと、少し目を瞑って言った。
「きっと、堕ちる先は地獄だろうよ…。」
俺は迷わず父さんに銃を向けた。
「…言い残したことは?」
俺がそう聞くと、父さんは少し笑って言った。
「…胸張って生きろ。」
あの出来事から10年後。
俺は今、顔を隠してではあるがチーズケーキ専門店を営んでいた。
春千夜くんは厨房で動いていて、俺はレジとかそこらへん。
お客さんもなかなかに多い方だし、正直言ってここまで来るのに超苦労した。
「よー、タケミっち。」
「あ、スマイリーくん!」
スマイリーくんはアングリーくんと俺らの店の隣でラーメン店を経営している。
正直に言おう。ラーメン超おいしい。
だからこっちも頑張っているのだが。
「相変わらず品薄だなー。」
「ですね…。」
「従業員もこっちよりいるんだろ?」
「数名雇ってます。」
スマイリーくんはすげぇな、とつぶやくとチーズケーキを買って隣へと帰っていった。
他にも、カクちゃんは保育園の先生をしているし(たまに怖がられるらしいが)、柴家は柚葉さんが戻ってきたので三人で服系統の大きい会社を経営中。灰谷兄弟は全国で活躍している。なにかは知らない。
…そして、山岸とタクヤは何とか洗脳が解けたので俺らのところで雇っている。ただ、春千夜くんとタクヤ&山岸の相性は最悪だ。
たくさんの犠牲が出たし、俺はたくさんの人を殺した。
それは償えないと思っている。
だから、地獄に堕ちる前に、父さんに言われたように胸を張って生きようと思う。
意味が違っても、俺にはもう正解が分からないのだから。
そっと、店のドアが開く。
常連さんのピンク髪の方が今日も訪ねてきた。
「いらっしゃいませ!」
俺は笑顔で、そう応対した。
TRUE END 「堕ちる前に、胸を張って」
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