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ガラッと、勢いよく開けた扉を後ろ手で閉め、セットのしていない前髪から鋭い眼光が覗く。
無精髭そのままにした容貌は、そっち系の職種の人のようだった。完全に偏見でしかない。
立ち上がった赤井は思わず固まり、悠真と机を挟んで薫と対面する形となった。
無言が流れる中、さらに薫は睨みを効かし、警官である赤井がたじろいだ。
張りつめた空気を切ったのは薫だった。
悠真はズボンのぽっけからスマホを取り出し、赤井の死角位置をちらりと確認しながら録音を始めた。
「本気で羨ましいぜ」
睨みつけていた目は、悠真に動き、いじけるような自嘲するような表情を見せる。
「悠真程の記憶力があればな。防げたかもしれないと思うと腹立つな」
「こいつか?」
悠真に近付き、状況を把握しようとする。
薫は先程までの2人の会話を知らない。
「、、おそらく。さすが、といったところです。掴ませてくれません」
けっこう頑張ったんですよ。と言いながら事務椅子から立ち上がり、薫と並ぶ。
「、、ははっ。ほんと参ったなー。僕、仕事中なんだよー。悪いけど帰ってもらっていいかな。上には報告しないでおいてあげるから。お巡りさんを敵に回さない方がいいんじゃない?職務妨害で捕まえることできるんだよ?」
「やれるもんならやってみろよ」
「あんたの方が都合悪いんじゃないですか?取り調べして、状況捜査?でも他の警察の人が間にはいってくれるなら有り難いですから。自分達は詩音を探してるだけなので」
ギリッと噛み締めた音が微かに聞こえた。
「面接の時はどうも。気付かなかったよ。詩音から聞いていた『音弥さん』よぉ」
「喧嘩の仲裁に来た警官もこの人ですよ。というか、名前聞いてるじゃないですか、、!」
「アホ!普通、繋げるかこんな名前だけで!」
お前がおかしいんだ! と、指を指す。
確かに、このような状況じゃなければ悠真も疑問1つ持たないだろうと静かに同意した。
「地元にストーカーがいたと聞いている。親の薦めで接点を持ったと。お前か?」
「親の紹介、、?」
「、、はぁ。あの時。運命だと思ったんだよ」
赤井は目元を紅くさせ、恍惚気味に答える。
「すっごくタイプの子が自分の嫁となって好きにしていいって知ったらさ、好きになるだろう?追いかけて、探して、何が悪いんだい?自分のもの取り戻すのは普通だろう?君だって、鍵を落としたからって探しにきたじゃないか。同じだろ?見つけたから手元に戻したんだよ。それに、ちゃんと伝えていたよ。もうすぐ一緒になれるよと気持ちを籠めたし。毎日手紙を贈って、電話は出てくれなかったけど、詩音ちゃんはきっと、直接僕に会いたかったに違いない。でも急だと困らせるかなと思ってたんだけど、まさか他の男と出掛けるなんて、酷い裏切りだろう?だから、少し早いけど同棲することにしたんだよ 」
壊れた人形のように、目の焦点は合っておらず、早口で喋る。
訊いてきているようで、一切口を挟ませない。淡々と自分自身に言い聞かせているかのように写った。
「こいつかなりやべぇぞ」
警戒よりも嫌悪で薫はかなり引いた。
理解できる日本語が1つもなかった。
悠真はメモの言葉を思い出し、自分と出掛けた事を知り、赤井は今回の行動に出たんだと、納得させた。
メモの事も引っ越しのことも、ストーカーのことも、詩音は一言もなかった。
その事実が、悠真はショックを覚えた。やるせなさに胸が痛む。
赤井はぶつぶつとまだ何やら一人語りしているが聞き取れない。
「イカれたか」
ヤクでも打ってたのか?と、薫は独り言をこぼしつつスマホを取り出す。
交番に入る前に録音をしていたが、もう意味を成さないだろうと判った。
停止させ、警察に電話を掛ける。
状況が一変した。
最初は取り合ってはくれなかったが、もうさすがに動くだろう。
詩音も、こいつの家にいることは分かった。
薫達に出来ることはもうない。
変な気を起こさせないように見張っているだけだ。
電話を掛け、状況を説明している間、悠真はただただ壊れた赤井を見つめていた。
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コメント
1件
うわあ第14話読み終えた…!!😭💦 赤井さんの壊れっぷりが怖すぎて鳥肌立った…「運命だと思ったんだよ」のセリフ、狂気感じてもうゾッとしたよ…。悠真くんが詩音ちゃんから何も聞かされてなかったっていう事実も切なすぎる。薫さんの「イカれたか」の一言で空気が一気に変わった感じがたまらなかった!続きが気になりすぎて今夜眠れないかも…🔥