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side.🧡
🧡〝…はぁ、〟
俺はデスクに突っ伏した。
時計を見る。
23時半。
定時なんて、とっくに過ぎている。
🤍‹向井先輩、まだ帰らないんですか?›
隣の席から声がして、顔を上げる。
ラウールだった。
新人のくせに、
今日も俺より早く仕事を終わらせている。
🧡〝…ラウ、お前ほんまに新人?〟
🤍‹はい。›
🧡〝俺より仕事できる新人って、
どういうことやねん…〟
🤍‹向井先輩も早く帰ったほうがいいですよ。
明日もありますし、›
🤍‹明日でいいなら…手伝います。›
🧡〝ほんまに…っ!?〟
🧡〝ええの!?〟
🤍‹…まぁ。›
俺の後輩天才だろ…!!
俺は勢いよくパソコンを閉じた。
🧡〝…はぁ、〟
今日も疲れた。
仕事は嫌いじゃない。
むしろ、
頼られたり褒められたりするのは嬉しい。
けれど、最近は少しだけしんどかった。
俺より仕事のできる後輩。
俺なんていなくていいんじゃないか、
と思ってくる。
だけど何より…
🧡〝…めめ、〟
彼が海外へ単身赴任してから、
もう何ヶ月になるだろう。
会いたい。
でももう少し。
耐えれば会える…。
🤍‹向井先輩。顔、死んでますよ笑›
🧡〝誰のせいやと思っとんねん笑笑〟
笑いながら鞄を肩にかける。
その瞬間、
スマートフォンが震えた。
画面を見る。
そこには、「目黒」の2文字。
🧡〝…!!〟
自然と頬が緩んだ。
それを村上は見逃さない。
🤍‹んふ…めめですか?›
🧡〝っち、ちゃうわ!!〟
🤍‹顔がすごく嬉しそうですけど›
🧡〝ちゃう言う取るやろ!!〟
慌ててスマホをポケットに突っ込む。
けれど、着信は止まらない。
🤍‹出たら?›
🤍‹…俺、先帰りますね›
🧡〝お、おう、〟
ラウが帰っていく。
俺はしばらくその背中を見送ってから、
ようやく通話ボタンを押した。
🧡〝…もしもし、〟
🖤〘康二!〙
その声を聞いた瞬間。
一日の疲れが、ほんの少しだけ軽くなった。
🧡〝な…なんや、〟
🖤〘今帰り?〙
🖤〘遅かったね、頑張ってるんだ。〙
🧡〝…そっちもまだ仕事やろ?〟
🖤〘まぁね笑〙
めめが笑う。
やっぱり、その声が好きだった。
電話越しでもわかる、柔らかい笑い方。
変わらない、好きな人。
🧡〝ほんまに…今日は疲れた、〟
ぽつりと言うと、彼は黙った。
🧡〝新人が俺より仕事できるし…〟
🧡〝俺、ほんまに要るんかな、〟
本音だった。
でもきっとこれは、
電話だからこそ言えたことだった。
🖤〘…俺は康二に、何回も助けて貰ってる〙
🖤〘苦しかった時、ずっと隣で笑わせてくれた〙
🖤〘俺が海外赴任を決めて、
こうやって頑張ってるのも、
康二と電話する時間があるからだし。〙
🧡〝…。〟
🖤〘康二は…必要だよ。〙
俺は涙を堪えた。
心底嬉しかった。
求められていると実感できた。
でも俺は、素直じゃない。
🧡〝いやでも…それ、仕事の話やろ?〟
そうやって、自分を下げる。
🖤〘違う〙
🖤〘同じ部署で働いてなくても、
友達として、本当にそう思ってる。〙
少しだけ間が空いた。
涙は堪えることができずに落ちた。
スーツに涙のシミができる。
それでも気づかれないように、気を張った。
🖤〘俺は今…〙
🖤〘康二に会いたい。〙
思わず足を止めた。
スマートフォンを耳に当てたまま、
動けなくなる。
🧡〝…へ、〟
🖤〘本当に思ってる〙
🖤〘いつも癒して貰ってたから、〙
🖤〘今は俺が癒したい。〙
🧡〝っは…ほんま、ずるいわ、〟
🖤〘だからさ康二…〙
🖤〘泣かないで。〙
🧡〝!!〟
気づかれていたなんて。
そんな優しい声に、耳まで熱くなる。
海外と日本。
距離にしたら、何千キロもある。
手を伸ばしても届くことはない。
隣に座ることもできない。
疲れた日に、
ただ「おかえり」と言うこともできない。
それでも。
声だけは、電話越しにでも届く。
🖤〘…え?康二?〙
🧡〝…なに、〟
🖤〘いや…黙ってるから〙
🧡〝…嬉しいねん、〟
次はめめが黙る。
…なんやこいつ、笑
俺は少し恥ずかしくなって、早口になった。
🧡 〝…毎日電話してくるん、
最初びっくりしたんやけど、〟
🧡〝でも…電話来んかったら、
多分もっと嫌や…///〟
🧡〝一日終わって…
めめの声聞いたら…
なんか、もうええかって思える、〟
🖤〘…はぁ、〙
🖤〘…かわいい。〙
🧡〝ッ!?////〟
電話越しに聞こえる声が、少し低くなる。
🖤〘…俺も、康二の声聞くと頑張れる〙
彼が笑う。
さっきまであれほど重かった身体が、
少しだけ軽い。
🧡〝…なぁ〟
🖤〘?〙
🧡〝その…帰ってきたら…〟
🧡〝…その……〟
言葉が続かない。
🖤〘…絶対、一緒にご飯行こう〙
🧡〝…へっ、〟
🖤〘映画も行って、旅行も行こう〙
少しの沈黙。
彼の言っていたそれは、俺が言いたいことの全貌だった。
🧡〝…当たり前やろ、笑〟
遠距離は、寂しい。
会いたいときに会えない。
触れたいときに触れられない。
けれど。
一日の終わりに、互いの声を聞ける。
それだけで、明日も頑張れる。
🧡〝…蓮、〟
🧡〝明日も電話してな〟
🖤〘…もちろん。〙
スマートフォンの向こうから聞こえる声に包まれながら。
俺は会社をあとにした。
今日の疲れは、もうどうでもよかった。
明日もきっと、大丈夫だ。
fin.
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#BL
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コメント
1件
「仕事の疲れも - mmkj編」第4話、読んだよ…! 向井の「俺なんていらんのかな」って本音、めっちゃ刺さったわ。ラウールに仕事抜かれて自信なくすのもわかるし、でもその後にめめからの電話で「康二に会いたい」ってストレートに言われるの、尊すぎん?! 電話越しでも伝わる愛情で、一日の疲れが吹き飛ぶ感じがすごく良かった。遠距離だけど「明日も大丈夫」と思える終わり方、沁みた…次はdtnb編か、楽しみにしてる🔥