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《ファントムバイブレーションシンドローム》
通知が来ていないのに通知が来たと錯覚し、スマホを確認してしまう現象。
ストレスなど数々の原因が挙げられるが詳しいことはまだ分かっていない。
「ファントムバイブレーションシンドローム…」
薄暗い部屋でスマホのディスプレイの文面を読み上げた。
今の俺の状態と全く同じだ。きっと俺は昊からのメッセージを待っているんだろう。
傍らにいる愛猫の背中を撫でながらギシギシ音を立てるベッドの上に寝転がった。
事故から約一ヶ月、昊はまだ目を覚まさない。
昊とのLINEを見返す、どれもこれも他愛無い会話ばかり。でもそれが大切で仕方ない。
もう一度こんなふうに言葉を交わせれば、そうおもっても俺が昊にしてやれることは数少ない。
俺にできることは、見舞いに行ってあいつが目を覚ましたときに笑顔で迎えてやること。それだけだ。
「外、出てみるか…」
ぼそっと口にした言葉にアオが酷く驚いたような顔をして俺を見上げた。
それがいい、とでも言いたげに体を俺にこすりつけてくる。
次の日、俺は一ヶ月ぶりの学校に足を向けた。