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第三十一章
絆
―再び一つに―
その想いが、胸を締めつける
「……わた、しが……っ」
「……っ?」
「私が……っ。私のせいで……」
「──煉華っ!」
肩を強く揺さぶられ、煉華はようやく我に返った。
「……ぁ、どうしたの?」
「どうしたの、じゃないよ。さっきから何度も呼んでるのに、全然返事しないんだから」
「ぁ……ごめん……」
煉華は申し訳なさそうに小さく俯く。
琥珀は心配そうに煉華の顔を覗き込んだ。
「大丈夫? 疲れてるんじゃない? 蒼紫の治療も終わったし、街へ戻ろうって話してたんだよ。詞葉も休ませないと」
「……そうだね」
煉華は小さく頷くと、治療を終えた詞葉へ優しく微笑んだ。
「詞葉、治療ありがとう。本当にお疲れさま」
「ううん。当然のことをしただけだから」
詞葉が柔らかく微笑む。
煉華は静かに蒼紫の傍へ行き膝をついて、その頬へそっと手を添えた。
「……ごめんね。苦しかったよね……。必ず倒すから……」
その震える声に応えるように、蒼紫がゆっくりと目を開いた。
「……私、まだ生きてるから。勝手に殺さないでくれるかしら?」
小さくため息をつきながらそう言う蒼紫に、煉華は目を丸くする。
「蒼紫っ!」
「大丈夫ですか、蒼紫ちゃん?」
詞葉は安心したように胸を撫で下ろした。
「まだ無理はしないで。もう少し休んでから移動しましょう? いま羅刹さまが周囲の安全を確認してくれてるから」
「……わかったわ。ありがとう、詞葉」
その言葉を聞いた詞葉は安堵の笑みを浮かべる。
「羅刹さまにも知らせてくるね」
「危ないし、あたしも行く!」
琥珀も後を追い、二人はその場を離れた。
その場には、煉華と蒼紫だけが残る。
しばらく沈黙が流れた。
やがて蒼紫が静かに口を開く。
「……煉華。あなたは悪くない」
「そんなことない……。私がもっとしっかりしていたら……私がもっと気をつけていれば……」
「はぁ……」
蒼紫は呆れたようにため息をつくと、煉華の額を指先で軽く弾いた。
「いたっ!」
「私が刺されたのは、私が油断したから。それだけの話よ」
煉華は額を押さえながら俯く。
蒼紫は優しく微笑み、続けた。
「自分の責任を、大切な友達に押しつけるような人間にしないでくれる?」
その言葉に、煉華の瞳から涙がこぼれそうになる。
「……うん」
震える声で答えながら、煉華は蒼紫の手をそっと握った。
「みんなで倒そう……そして、四人で帰ろう」
蒼紫もその手を握り返し、小さく笑う。
「ええ。そのために、私たちはここにいるんだから」
その時──。
「二人ともー!」
少し離れた場所から琥珀の元気な声が響く。
「安全確認できたよ! 出発しよう!」
煉華と蒼紫は顔を見合わせ、小さく笑い合う。
「行こう、蒼紫」
「ええ」
握った手をそっと離し、二人は仲間たちの待つ場所へ歩き出した。
四人の想いは、再び一つになっていた
コメント
1件
蒼紫が刺された責任を「自分のせいだ」って抱え込む煉華に、蒼紫が「私が油断しただけ」って優しく返すシーン、すごく沁みました…。指先で弾く仕草とか、頼もしいのに優しくて。「四人で帰ろう」って声に出して言える煉華の強さ、ちゃんと仲間と繫がってる感じがして、胸がじんわりしました。