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私の同僚であり、想い人。
道化師ニコライ・ゴーゴリから
この奇妙な関係を持ち掛けられたのは、一体何時からだっただろうか。
汗ばみ矯声を上げる彼の筋肉がありつつ、骨が浮き出た背中を見つめていると
ふと、そんな事を考えてしまう。
陶然の様にこの行為には愛などない。
何故ならば私達は
唯己の劣情と言う名のどうしようもない慾望を発散する為だけの関係、
所謂セックスフレンドだった
彼には想い人がいて、
手が届かないその想い人の代わりに私に抱かれては、
燃え尽きてしまう様な純情を捨てようとしている
そんな事持ち掛けられた時点で分かっていた筈なのに
その想い人へ嫉妬しては、
きっと永遠に不変なこの関係に胸が痛くなる
それが日常だった
でも心の片隅で、叶うことの無いその想いに
ほんの少しだけ安心してしまっていた
「ヒョードル君?あ、だめ、ん、、、、」
フョードルとゴーゴリその行為を見てしまう前までは、
そうだった。
それから、やけに執拗に行為に誘って来る彼に
苛立ちを覚えていた。
もうそういう事を出来る仲なら大人しくフョードルの所へ行けばいいだけの話じゃないか
「お前は、ヒョードルが好きなんだろう?
なら、こんな行為辞めれば良いじゃないか、」
「ちが、そんなこと、、、」
この期に及んで否定する彼が更に憎らしくって
無理矢理押し倒す。
其の際に身体を打ったのか、傷みに顔を歪めるのを気にせずに肌を露出させた
「お前が言ったんだぞ、抱いてくれって、」
これからされる事を解っていたにも関わらず抵抗しなかった酷く彼を、散々抱き潰した後
怒りに任せて彼を監禁した。後悔は無かった
ヒョードルが付けたであろう傷を見れば見るほど
憎悪が滲み出る様に私の身体を蝕んでゆく、
いつしかその感情は暴力として彼に向けられていて、
睡りに堕ちた筈の彼は、刺激に目が醒めたのか
薄っすら涙を浮かべ此方を窺っていた。
まるで助けてとでも言う様なその仕草に、
火に油を注がれた私の心は尚更乱される
ドガッ。
「い”、、、、だ”、、」
上書きする様に靭やかな純白には似合わない痛々しい青紫色が永遠に刻み込まれる
「ぁ、、、ぅ、、、」
首に、頬に、胸、脚、腕、腹。彼の全身に私が刻まれるのは行為を超えた快感で
貪欲に其れを求めて私は彼にカッターの刃を呑ませた
勿論水も無く食道で引っ掛ったのか
彼は涙目で嗚咽する
「お”ぇ”ッ”ッ”、ぃ”だ、ぁ”ぐ、ぅ”、ぇ”、ぉ”う”え”ッ”ッ”」
ボドボドと吐き出される血液と、助けを乞う大きな瞳にが劣情を駆り立て、更にヒートアップさせる
「助けて欲しいか?そうだよな?」
鮮血を吐き出し続ける口に無理矢理指を突っ込み刃を取ってやる事にした。幸い浅い所だった様で、それを取り引き抜くと貧血なのか青白い冷汗を大量にかいた顔で此方を見た
すっかり彼に狂ってしまった私はそれすらも愛おしくて
何時もからは想像出来ないような、薄ら笑いを浮かべた
「シグマ君。セフレにならない?」
唐突な提案だったが優しく気が利く彼は直ぐに嫌な顔せず了承してくれた
それからというものの、
中々告白出来ない内に恋人になる前に、肉体関係を持ってしまった事を少し後悔していた
きっと、優しいから付き合ってくれてるだけなんだろうなぁそう思っては憂鬱になって叶わない恋心に蓋をしていた
ある日突然ドス君から呼び出された
「一体なんの、、、、」
言葉の最中で何が何だか分からないまま、口角を歪ませた彼に襲われた。意図は分からないまま
酷く痛む身体を支えながら彼の元へ向う。
全てを忘れる為に、
だけどシグマ君は顔を歪め、帰ってくれと拒んだ
何度訪ねても結果は変わらず許してもらうためにもう一度彼の自宅へと足を運んだ
彼は家に入れてくれたが、
その表情は酷く暗くそのまま僕らの間に走っていた沈黙を突如彼が切り裂いた
「お前は、ヒョードルが好きなんだろう?
ならこんな行為辞めれば良いじゃないか、」
普段のシグマ君からは想像出来ないような光の無い闇に囚われた眼光が此方へと釘付けになる
「いや、、、、、ちが、、、」
だって、彼には好意を向けていないのだもの。
この状態の君にそんなの聞こえる訳が無く
夢我夢中に浸りながらただ眼の前の玩具を甚振っていた
数時間経った彼はやけに優しくなった。
まるで何時もに戻ったみたいにそして自身の行いを悔いてる様で此方に語りかける
「すまない、、、、直ぐに解放する、、許してくれ、嫌わないでくれ、」
知ってるよ。君は僕を離さない
だけど僕も離れない
「構、わ、、、な、い、よ。此れが”君”の愛情なの、だろう?
な、らば、私は、受け容れる、よ」
私達は何もかも全て変えられないのだ。
全ては毒牙に掛かってしまったから
微笑む私に彼は泣き崩れた
「違う、あんなの、私じゃない、
私は、君を傷付けたく、無い、」
涙で顔をぐちゃぐちゃにする君の手首を掴んで僕の胸にそっと、当てた
消え行く心拍を彼も感じ取ったのか言の葉が途絶える
「愛して 、壊して」
最後に見た君は泣いていた。
でも今までで一番、楽しそうに微笑ってたんだ