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[中堂side]
朝から元気な子供たちがわいわいと外を歩いている。 いつもならもっと静かなのに。
久しぶりに家のベッドで目を覚ました俺は、大きな欠伸をしてUDIラボに向かう準備を始めた。
「あ 、中堂さんおはようございます。」
三澄が話しかけてくるも華麗にスルーしてソファに腰掛ける。
「昨日は帰ってたんですね。珍しい…」
あまりにもじっくりと眺められるもんだから本に集中できない。
「そんなに物珍しげにこっちを見るな。鬱陶しい。」
「私がここに着いたとき中堂さんいなくてちょっと心配したんですよー?」
「なんでお前が」
「お前って誰ですか。私は三澄ですけど」
話をするだけ無駄と判断し、読書を再開した。
「あ!ひどーい。無視しないでください」
ガチャリと扉が開く音が聞こえてまもなくして「おはようございます」と声が聞こえた。
「おはよー。最低な中堂さんなんてほっといて仕事しよっか」
「 ? そうですね」
散々な物言いだ。俺は何もしていないはずなのだが…久部にまで変なこと吹き込まないで欲しい。
解剖をし始めて数分。いつもと何か違う。目眩や酷い頭痛に襲われているが、大したことは無いと自分に言い聞かせ作業を続けた。
「 …う゛っ 」
耐え難い痛みに襲われ、苦痛に顔を歪める。床に落ちた金属が嫌な音を鳴らす。その場にいる全員が目を見開きこちらを見る。
「中堂さん!?大丈夫ですか?」
三澄がこちらに寄ってくる。なんとか大丈夫だと伝えるが、足に力が入らずその場に倒れ込んでしまった。
「久部くん神倉さん呼んできて!」
「は 、はい!!」
「中堂さーん 、今なんの症状出てますかね」
喋るのが厳しいと感じたため、ジェスチャーで伝えようと試みる。頭と目を指し示した後、手を握ったり開いたりして握力が落ちていることを伝える。
三澄は頭痛と目眩ですか、と小さく呟いて、恐る恐るこちらを覗き込んでいる東海林に話しかけた。
「昨日中堂さんが帰宅した理由って知ってる?」
「知らない…けど、木林さんと何か話してたのは見た」
ドタバタと誰かが走ってくる。
「中堂さん!!!!」
息を切らして駆け寄ってくる神倉さんに大丈夫です、と伝えて起き上がろうとした途端何かが込み上げてきた。
「 ゛、 ふっ」
慌てて口を覆う。間に合わない…っ
「中堂さんこれ っ!!」
「 ぅ゛、 ぐ っ 」
食材が全く混じっていない胃液が袋の中に溜まった。身体が溶けそうなくらい熱くなって、耐えられなくなった俺は意識を手放した。