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・照月
・学園もの
言ってなかったですけど時代は現代
追記・閲覧数が15いったら後編出します!
放課後、委員会が終わり教室に戻る。
「やあ」
みんな もう部活に行っているか帰っていて人の少ない教室で、夜神月はこちらを見てにこりと笑った。
「どうも、夜神君。」
「なあ、魅上。このあと時間あったりするか?どこか寄っていきたいと思ってて」
「放課後?行けますよ」
「よかった。駅前にある本屋に行って、いっしょに好きな本の話でもできたらなって」
彼の言葉に心が躍る。「もちろん」と言うと「ありがと。じゃあ、行くか」と優しげに笑った。
「あ。この本最近気になってるんだよね」
そう言って新書の台に積まれた本を指す。
それはリアルな描写から大きく人気を得たサスペンス小説であり、帯によると50万部突破もしたらしい。
「この本先週読んでみました。」
「へえ、どうだった?」
「面白かったです。世間からは描写の凄さ ばかり注目されてるが、ストーリーの構成も素晴らしかったです。」
「はは、魅上がそこまで言うと僕も読んでみたくなったよ」
「貸しましょうか?」
「いいのか?…ありがとう」
駅の近くの繁華街にある広い本屋で、私たちは雑談をしながらまわっていた。
今は夜神君とは少し離れ、本棚の端で面白いものがないか探している。
「あ、魅上君」
聞き覚えのある声がして振り向くと、隣のクラスの友人、高田清美が立っていた。
彼女は去年、共に学級委員をしていた人で、話が合うので委員会後もよく話し込んだ記憶がある。今でもクラスは違うが、時折会って雑談したりもする。
「何かいい本でも見つけた?」
「まだあんまりかしら。あと、楽しみにしていた新書がもう売れきれていて残念だったわ。さっき予約してきたの。」
「それは災難だね…。」
最近はゆっくり話せることがなかなかなかったから、しばらく話し込んだ。
「あ、そうだ。高田さんが面白いって言ってた著者の本、新作が出てたけど見た?」
「あら、知らなかったわ。今見てこようかな。」
「ぜひ読んでほしい本だよ。行ってきたら?」
「そうね。じゃあ、また。」
話を切り上げ、「じゃあ」と会釈する。
高田を見送ったあと、そういえば夜神君はどこだったかと振り向くと
目と鼻の先に顔があった。
「…ッッ!」
「親しそうだったな。」
私は後ずさったが、夜神君はピクリとも動かずに喋った。
その顔はどこか不満げだ。
…高田さんとかなり話し込んでほったらかしになってしまったから怒っているのかもしれない。
「あ…すみません」
「…別に何でもないよ」
強い口調でそう言われ、言葉に詰まった。
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