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紀行文

4 - 第4話 証言

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2025年05月29日

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「その子に関して話が聞きたいんですがよろしいでしょうか?」

「へえ。佐藤明久琉ですよね?」

「ええ」

「まあそうですねえ…約2年前ですね。明久琉は佐藤明久琉として全国旅を始めたんです」

「彼の本名は?」

「藤澤尊(ふじさわたける)ですねえ。名を変えたんですよ。あっしのところへ来た時」

「では血はつながっていない?」

「へえ。言ってませんでしたっけ?“先日”」

「ん゙ん。そうですか。いつ佐藤氏と出会ったんですか?」

「まあ尊が4,5歳ほどの時ですねえ」

「なるほど…」

「もとの親である、宮岸薫(みやぎしかおる)さん夫婦が交通事故にあい、亡くなってしまったんです。その現場に偶然居合わせたあっしに薫さんのご主人が死に間際こう言ったんです。「俺のことはいいからどうか隼(しゅん(尊の前の名前)を助けてください。お願いで……」それからあっしは尊をあっしの家の苗字へと変え、名前も変えたんです」

「わかりました。では今回の件についてはご存知ですか?」

「ああ〜どうですかねえ…あ!思い出しました。尊が死ぬ前、あっし連絡もらったんです。これ」

藤澤は自身のスマホを波島に向ける。そこにあったのは佐藤と藤澤のメールのやり取りだった。波島は佐藤から送られてきたメッセージを読む。そこには…。

「ガタイのいい男が俺のこと見てる」

その下にある写真は多分その男のことを言っているのだろう。

画像

「ありがとうございます」

「いえいえ。あっしが役に立てたならそれでいいです」

「ああ〜最後にいいですか?佐藤氏が調べていたことや探していたものはありますか?」

「…だったらこれを!」

藤澤は後ろにある棚から一つのノートを取り出した。そこには「内閣総理大臣浅倉茂道」とかかれていた。

「どうぞ持っていってください」

「ありがとうございます。またしても」

「いえいえ。」

「じゃあ私はこれで失礼しますね」

「へえ。では」

波島はノートを持ち、外を出た。

ギラギラな太陽の日が波島に当たる。そのせいで額から汗が次々と垂れてくる。


バスに揺られながら金子はあるところへ向かっていた。もう署からは随分と離れていた。

金子の立っている前の席に座っている女子高生は耳にイヤホンをし、スマホでなにか見ている。金子はその女子高生に目移りしてしまう。あまりジロジロ見てはだめなはずなのに。その理由は彼女の顔などだろう。彼女の顔はとても可愛らしく、目移りしてしまう。艷やかな長い髪は彼女にぴったりだ。


私のことをジロジロと見つめてくる。キモい。若い男でも痴漢(ちかん)はするのかと思う。いやギリギリ痴漢ではないのか。スーツを着ている…お偉いさんなのだろうか。いやただのサラリーマンか。というか私の方こそ男を見つめている。だめだ。もし彼が刑事だったら…良くないことを考えるのはやめよう。

スマホから流れる動画「さあ!こちら今話題のムーンクッキーでございます!!」


「ピーンポーン」

金子は近くにあった降車ボタンを押す。数分が経ち目的地に着いた。そこではスーツ姿の小さな中年男性と先ほどの女子高生が共に降りた。

目的地はほぼ田園だ。住宅も数えるほどしかなく、とても静かだ。そして、木がたくさん植えてあるため真夏の強い日差しを防いでくれている。

「プシュー」と大きな音を響かせバスの扉は閉まった。そして、次の目的地へと進み始めた。

金子はとある建物に向かって歩き始めた。やはり、夏は暑い。いくら木で強い日差しを防いでいるといえど汗は垂れてくる。

数分間歩き、大きな建物に金子が着いた。その建物は縦に長い長方形のものから煙が出ている。それにくっついている長方形のものがいくつもある。その建物近くを通った職員らしき坊主の男性に金子は声をかけた。

「あの〜金子です」

「おうおう!金子さんね〜じゃあすぐ呼んでくるから…ちょっとついてきて」

男性は滝のように流れている汗を肩にかけているタオルで拭いながら金子をとある場所へ案内する。長袖、長ズボンのヘブンリーブルーのシャツの制服の袖は肘までまくられていた。

「こっから暑いから上着脱いだほうがいいよ〜」

そういいながら男性は先程見ていた建物ではなくその近くにある長方形の建物に入っていった。金子もそれに続き、その建物に入っていった。

「あっち〜」

この建物に入った瞬間、熱気がすごい。多分、外にこの熱気が放出されていないのだろう。金子はシャツの上に来ていたブレザーを脱ぎ、手で持って歩き始めた。

「ささ。ここ。多分もうすぐ来るから」

「はい」

金子が案内されたところは応接室だった。男性がその部屋のドアを開け、入るよう促(うなが)した。

「部屋にある小さいソファに座って待ってて」

「はい」

金子が部屋に入ると間もなくドアが閉じた。男性が言っていた通り部屋には1人分が座れる小さなソファが置かれていた。そのソファの中央にあるのが木製のテーブルだった。金子はソファに座り、ある人を待っていた。

数分が経ち、ドアが開いた。そして、一人の女性が入ってきた。

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