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チェスト🍼ᓀ
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#snjn
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#カニバリズム
がくぶち🐌
233
898
前作と少し似てます…> <
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【第1話】落とされた暴君僕の世界は、ずっとこの狭い1LDKの部屋だった。
「おい、仁人。ビール冷えてねぇぞ。何回言えば覚えるんだ?」
ドカッ、と背中に強い衝撃が走り、僕はフローリングに突っ伏した。
見上げれば、整った顔立ちを不機嫌そうに歪めた勇斗が、冷ややかな瞳で僕を見下ろしている。
「ご、ごめんなさい……すぐ冷やすから……っ」
「チッ、使えねぇな。お前は俺が養ってやってんだから、家事くらい完璧にこなせよ。……外に出たら何もできないゴミの癖に」
勇斗は吐き捨てるように言うと、僕の頭を踏みつけるように踏み越えてソファーへと向かった。
勇斗は若くして起業し、外では誰もが羨む実業家だった。
一方で僕は、家族もおらず、特別なスキルもない。勇斗に拾われ、この部屋で彼の身の回りの世話をしながら、彼の機嫌に怯えて暮らす毎日。
暴力も、暴言も、冷たい視線も。
僕にとっては「僕がこの部屋にいてもいい理由」だった。勇斗が僕を必要(おもちゃ)としてくれている限り、僕は捨てられずに済むのだから。
「今週末、取引先の幹部とパーティがある。お前は部屋でおとなしく留守番してろ。変な真似したら……分かってるな?」
「……うん。分かってる、勇斗」
勇斗は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、僕の顎を乱暴に掴んで唇を奪った。
痛くて、冷たくて、惨めな口づけ。
けれど、僕はこの時、まだ知らなかったのだ。
彼が誇らしげに語っていた「完璧な城」が、目に見えないところでボロボロに崩れ去っていたことを。
それから数日後の、雨が激しく打ちつける深夜。
カチャ、カチャリ、と焦ったようにドアノブがガチャガチャと鳴った。
いつもなら乱暴に蹴破るように入ってくる勇斗が、鍵を穴に差し込むことすら手こずっている。
不審に思いながら玄関を開けると――そこには、全身ずぶ濡れになった勇斗が立っていた。
「……勇斗……?」
高級なスーツは泥と雨水で汚れ、固めていた髪は乱れ飛んでいる。
そして何より、いつも僕を見下していたあの鋭い瞳は、血走り、見たこともないほど激しく怯えて揺れていた。
「仁人……っ……仁人、俺……っ」
「どうしたの、勇斗!? なんでそんなに濡れて……」
勇斗は靴を脱ぐことすら忘れ、ふらつく足取りで室内へ倒れ込んできた。
僕が支えようと手を伸ばすと、勇斗はその場に膝から崩れ落ち、頭を抱えて激しく呼吸を乱し始めた。
「終わった……全部終わったんだよ……っ! 共同経営者に金を全部持ち逃げされた……! 会社の口座も空だ、借金だけが残った……!」
「え……?」
「家も、車も、カードも……明日には差し押さえられる……っ! 俺はもう終わりだ! 何もない……何もなくなっちゃったんだよ仁人ぉ……っ!!」
プライドが高く、絶対的な支配者だった勇斗が、泥だらけの服のまま床に擦り寄り、幼子のように声を上げて泣き出し始めた。
「……全部、なくなっちゃったの?」
僕はそっと勇斗の前にひざまずいた。
泣きじゃくる勇斗の顔を見つめる僕の胸の奥で、静かに、けれど狂おしいほどの「歓喜」が芽生え始めていた。
外の世界の勇斗。金を持つ勇斗。僕を自由に見下す勇斗。
それらが全部、消えてなくなった。
(ああ……すごい。神様、ありがとう)
僕は震える手で、ボロボロになった勇斗の頭を優しく抱きしめた。
「大丈夫だよ、勇斗。……僕がいるよ」
「仁人……っ、俺、もうお前を養うこともできないんだぞ……!? 俺と一緒にいたらお前まで惨めになる……っ!」
「ううん、違うよ」
僕は勇斗の耳元で、甘く、溶けるような声で囁いた。
「これからは、僕が勇斗を養ってあげる」
next…
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