『乱歩さん!』
『ん?』
『海へ行きませんか!』
寒い、ねぇ、もう帰っていい?
え!駄目ですよ!今来たばかりでは無いですか!
お前は僕を凍死させるきか?
あぁ!確かに今の時期に海へ入水したらワンチャン凍死できそうですね!
……
ふふっ。そんな顔しないでくださいよ
なぁ、太宰。普段僕はお前が死にたがる理由なんかに一切興味はないが、何故そんなにも死に急ぐ。
……生きることに価値など無いからですよ。
ふーん、よく分かんないけど、お前好きな物ある?
僕はねー、社長とラムネと駄菓子。
……私は入れてくれないのですか?
えー、だってお前すぐ死にたがるだろ
直ぐに無くなってしまうかもしれないものを僕の「大切」に入れても、空白ができてしまうだけだよ
空白に替えはないんだ、、ずっと空っぽのまま
あぁ、確かにそうですね。
…………否定しないんだな
だって、乱歩さんは探偵社の誇る稀代の名探偵なんですから。
乱歩さんの言うことに否定などしないですよ。
……ところで、好きな物はなんだ
勿論、乱歩さんです!あと蟹
『嘘だ』
……嘘なんかじゃありませんよ。それは貴方にも分かることでしょう?
理解できないな。僕を好きなら何故死のうとする
何故、僕を置いて行く
なんで、、
乱歩さん……?
(珍しい。いつも冷静なあの人が怒っている)
(私の事で怒ってくれているのだと思うと、凄く興奮するなぁ)
……本気で死にたいと思っているなら、早く死ねよ
僕の目の前で!
本当は怖いんじゃないのか、太宰。
本当は生きたいんじゃないのか
……いいですよ。じゃあ、しっかりその目に焼き付けておいてくださいね。
本当は、、苦しんで死にたくないんですけどね
パチャッ
(冷たい……)
パチャッパチャッ
(まだ、半分…)
(本心じゃなかったとしても、あの人が望んだことだ)
あと少しで……
バシャッバシャ
えっ…?
何してんの、太宰。
まさか本当に死のうとしてたわけじゃないだろうな。
……莫迦
…………ふふっ。
まさか、、
貴方が引き留めてくれるって信じてましたから。
ほんとに、、莫迦。
コメント
2件
補足/乱歩さんは走って海へ入って行き、太宰の腕を掴んで引き止めた。 最後の莫迦は少し悲しそうな、泣きそうな顔しながら言ってる。