テラーノベル
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パチンッとファントムが指を鳴らすと、壁に映像が映し出される。それを見て、目黒は目を見開いた。
🖤「っ! みんな!」
何十―――何百体ものゴム人形を相手に戦っている、岩本、ラウール、渡辺、向井、宮舘、佐久間の六人。そして、黒い空間の中でモニターに映し出されている目黒の姿を見つめている、阿部の姿。
眉間に皺が寄る。
すぐ近くまで来ていたのに、また阿部と離された。それが、悔しい。
けれどふと、ある事に気が付く。
どこにも深澤の姿がない。
阿部と一緒にいたのだから、深澤も捕まっているはず。しかし、映っているのは阿部一人だけだ。つまり、そこに活路がある。
息を大きく吐き出す。
冷静になれ。焦れば思うつぼだ。阿部なら、きっとそう言うだろう。今は仲間を信じるしかない。みんな、阿部を救う為に全力を尽くしているのだから。
🖤(ふっかさん、信じてますよ)
そう、心で呟き。
🖤「お前だけは許さない!」
怒り狂ったように、全力でファントムに向かっていく。作戦などないかのように、ただガムシャラに攻撃を仕掛ける。その様子に、ファントムが楽しそうに笑っている。単調な攻撃に変わったのを見て、自分の策に目黒が嵌まっていると思っているのだろう。
それが、目黒の作戦だというのに。
今はこれでいい。これで少しでも時間が稼げれば、きっと打破できる。
不意に、ファントムが瞬時に消え、直後、背中に重い衝撃が走った。
🖤「ぐはっ……!」
吹き飛ばされ、十数メートル先の床に叩きつけられて、勢いよく床を転がる。全身に痛みが走るけれど、構わずに体を起こしたところで、足元からゴムでできた手が伸びて来て目黒の首を締め上げる。
🖤「ぐっ……!」
咄嗟に蔓を絡ませたことで抑えられてはいるけれど、掴んでいる手が離れる事はない。
「さあ、終わりにしましょう」
ファントムが拳を強く握るほどに段々と強く締め付けられていく。体を持ち上げられたことで宙に浮き、足をバタバタと動かして必死に抵抗するけれど、息が苦しくなってくる。
マズいと、そう思った時だった。
💙「めめ!!」
大きな音を立てて扉が開き、なだれこむようにメンバーが中に入って来た。
そこにいるのは、渡辺、向井、宮舘、岩本、佐久間の五人。
入ってくるなり宮舘が右手を前に出すと、目黒の首を絞めていたゴムの手が一瞬にして凍り付き、それを岩本の炎が一気に溶かすと解放された目黒が床に座りこんだ。
すかさず、皆が目黒の方に駆け寄り、ゆり組の二人が前に立ってファントムをけん制し、岩本が目黒を立たせ、向井と佐久間が目黒の様子を伺う。
🩷「蓮、待たせたな」
🧡「めめ、平気?」
🖤「もう、遅いですよ。もう少しでやられるかと思いました」
💛「軽口叩く余裕あんなら大丈夫だな」
🖤「っす。あっ! 阿部ちゃんが……」
💙「心配すんな。ちゃんと向かってる」
ほむぺ⋆*
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#あべさく
めかぶぷりん
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❤️「あっちはふっかとラウールに任せよう」
時は少し遡る。
大烏になったふーちゃんに乗って、深澤がいるであろうファントムの拠点に向かって飛んでいると突然、巨大な黒い円状のものが出現した。慌ててふーちゃんは避けようとしたけれど間に合わず、気付いた時にはドーム状になっているこの白く巨大な部屋の中にいた。息つく暇もなくゴムでできた人形が現われ、そこから戦いを続けているという状況だ。
倒しても倒しても湧き出て来るゴム人形に、体力も精神も削られていく六人。宮舘と岩本がいるから倒すのは簡単だが、終わりが見えないということが辛い。
このままだとマテリアが枯渇してしまう。
戦っていた向井の膝が突然、力が入らなくなって床に座り込んでしまった。
🧡「うぇっ!? ヤバい!」
💛「康二!」
焦ったような岩本の声に振り返ると、真っすぐにこちらに向かって来ているゴム人形。その手は鋭く、まるで槍のよう。
やられる、と思った次の瞬間。
向井とゴム人形の間に出来たシールドに当たるとゴム人形はぐしゃりと潰れて消えた。
🧡「へ……? これ、鋼……? まさか!」
💜「みんな伏せてろよー!」
のんびりとした声が響き渡り、直後、ドリル状の無数の鋼の刃が広いドーム内に降り注いだ。
それは寸分違わずメンバーの周囲にいるゴム人形だけを高速回転しながら撃ち抜いていき、数百はいるかと思われたゴム人形が全て消え去るのに、五秒とかからなかった。
💜「おーい。みんな無事かー?」
刃の雨が収まるなり聞こえてきた声の方を見れば、そこには手を大きく振った深澤がいて、皆が深澤の方へと駆け寄った。
🩷「ふかざぁじゃん!」
💛「お前、それこっちのセリフ」
💜「だよねー」
🤍「ふっかさん、ゴム相手だと相性悪くなかったっけ?」
💜「阿部ちゃんから攻略法の伝授済み」
💛「その阿部は?」
💜「なんかゴムの球体に閉じ込められて、阿部ちゃんが俺のこと、逃がしてくれたの。めめとみんなを助けてって」
🩷「阿部ちゃん……」
💜「だから、みんなに協力してもらいたいんだ。今度こそ、阿部ちゃんと、めめを助けるために」
🩷「あったり前だろ! 何の為に来たと思ってんだよ!」
💙「んなくだらないこと言ってたら、置いてくぞ」
💜「ひでーなー、もー。ま、いつものSnowManで良かったよ。めめはファントムと戦ってる。ラウと俺で阿部ちゃんを助けるから、他のみんなはめめの方に行ってくれる?」
🤍「僕でいいの?」
💜「阿部ちゃん曰く、その球体は魔法っぽいんだって。ラウなら、解析できるでしょ」
🤍「うん! 僕、頑張るね!」
💛「めめがどこにいるか分かる?」
💜「ごめん、俺も最初にいた部屋から飛ばされたから、そこまでは……あ。ふーちゃん、ボーダーコリー」
深澤の声を合図にして、鳥のふーちゃんが紫色のオーラに包まれると、ボーダーコリーの姿に変わった。
💜「めめの匂い、追ってくれる?」
コクンと頷き、ボーダーコリーふーちゃんが匂いを嗅ぎ始めた。
💛「ふっか、ラウ。阿部のこと、任せた」
🤍「みんなも気を付けて」
そこで二手に分かれ、深澤はラウールを連れて来た道を戻って行く。
エレベーターは使えないから、階段を駆け上がっていく。正直、キツい。鍛えているし体力はある方だと思うけれど、この建物は結構な階数があった。
降りて来るだけだった先ほどはまだ良かったけれど、こんなに階段を駆け上がるのは、みんなでお百度参りをした時以来だろうか。
💜「はあ、はあっ、きっつ……」
🤍「もう、ふっかさん、しっかりしてよ! ふっかさんが案内してくれないと、僕、阿部ちゃんのところに行けないじゃん」
💜「んなこと言ったって……もう、30手前なんだぞ?!」
🤍「大丈夫、大丈夫。ふっかさんはまだ若いよ! それに、僕たちが先に阿部ちゃんを助けてみんなと合流しないと。そのくらい、ファントムは手強いよ」
💜「わかってっ、けどさ……!」
🤍「ほーら。そんな弱音吐いてたら、岩本くんにバラしちゃうぞ。そうなったらトレーニングメニュー増えるかもね」
💜「待った待った! 頑張る! 頑張るからそれだけは勘弁してー!」
終始、和やかムードの最年長と最年少コンビ。
年齢関係なく、言いたいことは言い合えるのがSnowManのいいところだ。それは最年長の深澤が優しく包み込んでくれるから。だからラウールは自分の意見をはっきり言えるし、物怖じしないでいられる。
たまに辛辣なことも言うけれど、それは仲が良い故で、敬意を払って接しているからこそ成り立っている関係だ。
ラウールが、人に優しくしよう、メンバーに対して敬意をもって接しようと思ったきっかけは阿部だった。特務調査局に入りたての頃のラウールは、みんなと年齢も離れていたし、シャイで内気で人見知りで、あまりうまく話す事ができなかった。
すでに六人で関係性が出来上がっていたところに、向井、目黒、ラウールの三人が入る事になって、全員が快く迎え入れてくれたわけではなかった。表面上はよろしくと言っていても、打ち解けるまでには時間を要した。
けれど、阿部だけは最初からずっと優しく接してくれている。
仲間なんだから敬語はいらないよ。阿部ちゃんって呼んでね。でも、無理しないでゆっくりでいいからね。
特務調査局に入った日に、阿部から言われた言葉。それがラウールは嬉しくて、その時の事がずっと忘れられない。どんな時でも不機嫌な顔は見せず、苛立った態度をとる事もなく、何か失敗しても怒るのではなく対策を一緒に考えてくれる。そんな阿部がいたから、他のメンバーとも仲良くなって、今の関係が築けている。
だから、絶対に助けたい。
阿部はラウールにとって、かけがえのない存在だから。
💜「見えた。ラウ、あれだよ」
廊下の奥に見える大きな球体。そこはホールのようになっていて、半径5メートルほどの黒い球体が浮かんでいる。
🤍「阿部ちゃん……今、助けるからね」
ルーペを持って見ながら、黒い球体に触れる。
💜「どう?」
🤍「うん、魔術式が組み込まれてるね」
💜「それって、異能の痕跡と同じ?」
🤍「そう。魔術式って、勉強したら憶えられるんだよ。魔法陣が描けるようになったらいろんな事に応用できる。別の場所に行くのは魔法陣が多いかな。美上も使ってたでしょ。まあ、あっちは魔法陣の描かれたスクロールを使ってたみたいだけど」
💜「スクロールって、誰かが作ったのを買ってるんだっけ」
🤍「そうだね。魔法アイテムは売買される事もあるから。ファントムの魔術式は、自分で組んでそう」
💜「そんなことまで分かんの?」
🤍「一般的に売られてる魔術式とか魔法陣って結構、簡単なんだよ。僕も見ただけで同じ魔法陣、描けたでしょ。でも、こっちの魔術式は複雑に絡み合ってる。よく見えなかったけど、ファントムの異能の痕跡に重なってる魔術式にも似てるかな」
💜「へぇー」
🤍「とにかく、この魔術式を破壊できれば助けられる」
💜「阿部ちゃんが、外からの攻撃は防がれるようになってるって言ってた」
🤍「そうなると、解析して攻撃が通る場所とか条件を探さなきゃなんだけど、時間がかかるんだよね……」
その時、びゅんっと凄いスピードで黒い塊が飛んできたのを、瞬時に作った鋼の盾で弾く。
💜「周りの雑魚は任せて。ラウは解析にだけ集中してよ」
🤍「ありがと」
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