ピロン♪
「ん、?」
俺は、暗闇の会社の中、パソコンに向かっていた。
会社はかなりの大手で、俺はまぁ、普通の社員。
とはいっても、未成年だ。
まぁいろいろ…事情があって、親から逃げても生活ができるように、特例で許可してもらった。
勿論、会社の電球が付かないわけはないから、今は残業中。
そして、長引きに長引いて、ついさっき新たな一日が来たことを告げる音楽が流れた。
そして、また静寂に包まれた部屋に少し間の抜けた通知の音が流れたことを不思議に思ったのか、
一緒に仕事をしていた部長も手を止めた。
「一万希、君のスマホか?」
「はい、そうみたいです」
届いたメッセージを見て見ると、
どぬくさんからだった。
『もふくん、大丈夫?』
『体調悪い?迎えに行こうか?』
迎えに行こうか?なんて、
君は彼女側でしょ?そういうのは、俺がやるものなんだよ、と言いたくなる。
どぬくさんは、どんなに帰りが遅くなったって、
寝ないで待っていて、とてもおいしい夕食を準備して、
笑顔で迎えてくれる。
ただ、今日はまだ終わりそうもない。
しかも、普段では考えられないほど遅くなっている。
だから、
『ごめん、先に寝ていていいよ 残業、長引きそうなんだ』
と送ろうとして、
「おいおい、彼女か?」
からかったような部長の声に止められた。
いつの間にか、覗き込まれていたようだった。
間違いではない。ただ、
俺らは付き合っていない。
カップルの真似事…ではないか、
実際、本当に俺は君のことが好きだし、君も俺のことが好き。
これは、お互いが知っていること。
それでも、付き合っていない理由は、
イジられたくないから。
俺らは、「カラフルピーチ」というゲーム実況グループに入っていて、
12人で楽しく、仲良く活動している。
そこにいる、メンバーカラーがピンクとオレンジと水色と黄緑の人が、腐っていて、
俺らも、カップルチャンネルの企画で「もふどぬ」といわれて、たまにイジられる。
これが、本当に付き合っているとなったら…
メンバーどころか、視聴者さんにも広がって、恐ろしいことになる可能性がある。
だから、嘘をつかなくてもごまかせるよう、付き合ってはいないが、ほぼほぼ同じような感じ。
「違いますよ」
こういう時に、こう答えられるからいいのだ。
別に、「カップル」という呼び方はそれを表す言葉であって、その名前を付けなかったとしても、そのくらいの関係になっていれば、別にいいのではないかという考えで、二人で決めた。
「そうなのかぁ、?w」
少し笑って上司が返す。
「今日はもう、帰れ」
そういわれた。
「俺一人でもあとは大丈夫だからな」
いつもだったら、食い下がるところ。だけど…
「すみません、ありがとうございます」
「お先に失礼します」
俺はそう返して会社を後にした。
ストレスがたまりにたまっていて、早く会いたかったことと、
さみしい思いはなるべくさせたくないこと。
お互い、かなり複雑で、よいとはいいがたい家庭環境だったから、
その分分かり合えることはある。孤独とは、本当につらいものだと。
そして、駅について、ちょうど来ていた電車に揺られて30分ほど後、
ピンポーン
ガチャ
「ただいま」
普段ならここで走る音がして、笑顔で「おかえり」といいに来てくれるのだが、
今日はいなかった。
なにかあったのかと心配して、急いでリビングに行ってみると、
どぬくさんがテーブルに突っ伏し、寝てしまっていた。
どぬくさんの手元にはスマホが置かれており、
それを見て見ると俺とのやり取りの画面のまま置かれていた。
新しく『大好き』『どこにも行かないでね』と送ったとわかる画面のまま。
電車でマナーモードにしていたからわからなかったけれど、
寝ぼけて、間違えて送ってしまったのだろう。
本当にかわいいことをするな、と思いながら、
手を洗い、着替えてきてどぬくさんの隣に座った。
なめらかな長い髪をなでていると、目を覚ましてしまった。
「あっ、ごめん起こしちゃった?」
「ふぇ…?もふくん、…?」
寝ぼけた目で俺を見ると、いきなり目が覚めたらしく、
「え、俺寝ちゃってた?!」
と、目を丸くして言ってきた。
「うん、w」
俺が笑って返すと、少し恥ずかしそうに、申し訳なさそうに、
「ご、ごめんね💦」
といった。
「うんん、全然」
「こちらこそごめん、残業で…眠かったでしょ?」
「いやいやいや、そんなことない!全然大丈夫だよ!」
「寝ちゃってたのに?」
「う、…それは…」
「www」
「もう、笑わないでよぉ、!」
「ごめんごめん、w」
「むぅ…」
すねているのか、口をとがらせている。
「ごめんって、」
チュッ
「んッ、」
優しくその唇にキスをすると、ひるんでいたのか、すこし体が緊張したのがわかった。
だけれども、お構いなしに続ける。
チュクレロ・・・レロレロ・・・レログチュ
「ん”ッ、ぁ、…//」
深く舌を入れると、気持ちよさそうに目を閉じて、小さく声を上げた。
プハッ
「はぁ、はぁ、…///」
「大好き」、
耳元で、小声で囁いた。
「ひッ、//」
びくっ、と身体が反応した。
「今日、ヤる、?」
「えッ、///でも、…」
「つ、疲れちゃってるんじゃ、…」
「だから、」
「どぬくさんが俺の疲れを癒してよ」
「ね、?」
「ッ、…///」
「いッ、いい、よッ、///」
「やった、♡」
「うぅ、…///」
「楽しみにしておくからね、」
「どぬくさんの可愛いところ、♡」
「…もう、!///」
「www」
「じゃあ、先にお風呂入ってくるね」
「わかった!じゃあ、夕食出しておく!」
「ありがとう」
本当にかわいい”彼女”。
本当に大好きだと思える人。
やっとできた…本当に大切な人。
やっとできた、心を開ける人。
コメント
1件
尊い尊すぎる最高すぎる😆短編集さいこう!