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𝕔𝕠𝕔𝕠
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あり
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ー逃げ道は君になった。ー
🩷佐野勇斗 攻
💛吉田仁人 受
🤍山中柔太朗
❤️曽野舜太
💙塩﨑太智
夏休みも…
気づけばもう終わりが近づいていた。
💙「なあ。」
いつものように五人で集まっていると、
太智が突然、声を上げた。
💙「夏休み、もうすぐ終わるやん。」
❤️「……ほんまやな。」
舜太が、少し驚いたように言う。
🩷「早かったね。」
🤍「……うん。」
俺も。
なんとなくみんなの会話を聞いていた。
夏休み。
去年までなら早く終わってほしいとすら
思っていたかもしれない。
でも。
💛「……早いね。」
今年は、もう少しこのままでいたいと
そう思ってしまった。
💙「せっかくやし、夏休み終わる前にもう一回どっか行こーや!」
❤️「ええやん!」
🩷「じゃあどこ行く〜?」
💙「んー……。」
太智が少し考える。
❤️「映画とか?」
💙「お、それええやん!」
🤍「……映画…いいね!笑」
🩷「俺も行きたい。」
💛「……俺も。」
こうして夏休み最後の思い出に、
五人で映画を見に行くことになった。
映画館に着くと
💙「めっちゃ人おるな。」
太智が周りを見ながら言った。
❤️「夏休みやからやろ。」
💛「……もう終わるけどね。」
俺たちはチケットを受け取り、
映画館の中へ入った。
そして、
💙「……で、どこ座る?」
❤️「仁人、真ん中でええんちゃう?」
💛「なんで?」
❤️「なんとなく笑」
🩷「じゃあ、俺、仁人の隣。」
🤍「……俺も。」
💛「いや、俺の意思は?」
💙「ないんちゃう?笑」
💛「あるよ。」
❤️「太智、ひど笑」
結局、
なぜかまたあの並びになった。
🤍柔太朗。
💛俺。
🩷勇斗先輩。
❤️舜太。
💙太智。
💛「……なんでまたこの並びなんだよ。」
💙「運命ちゃう?」
💛「違う。」
❤️「でも、前もこの並びやったよな笑」
🩷「いいんじゃない?」
🤍「……うん。」
二人がなぜか同時に答える。
💛「……。」
……なんなんだ。
映画が始まる。
最初は普通だった。
太智が、たまに笑いをこらえていたり。
舜太が、映画を見ながら小さく笑ったり。
勇斗先輩は、真剣な顔で画面を見ていて。
柔太朗は……ほとんど動かず、
静かに映画を見ていた。
俺も画面に集中していた。
けれど、物語が進むにつれて。
少しずつ緊張感が増していく。
💛「……。」
次は何が起こるんだろう。
そんなことを考えながら、
画面を見つめる。
そのとき。
💛「……っ!」
突然の展開に俺の体が思わず
ビクッ
と動いた。
その瞬間誰かの手が、
俺の手にそっと触れた。
💛「……?」
隣を見る。
勇斗先輩だった。
🩷「……怖い?」
小さな声。
💛「……別に。」
🩷「ふーん。」
そう言って勇斗先輩は、
俺の手をそっと握った。
💛「……っ!?」
🩷「安心するでしょ。」
💛「……しません…よ///」
🩷「嘘だぁ笑」
……。
なんで。
なんでそんな自然に手を繋げるんだ。
💛「……。」
離そうと思った。
……のに…できなかった。
勇斗先輩の手が思っていたより
温かかったから…だと思う…。
映画はさらに
ハラハラする展開になっていく。
💛「……。」
……怖い。
いや。別に…怖くはない。
……少しだけ、そう思った。
そのとき。
トントン
左の肩を軽く叩かれた。
💛「……?」
柔太朗だった。
なにか話したそうだったので、
俺が少しだけ耳を近づける。
すると、
🤍「……大丈夫?」
小さな声。
映画の音に紛れるくらいの、
小さな声だった。
💛「……うん。」
俺も小さな声で答える。
🤍「……無理しなくていいよ。」
💛「大丈夫。」
そう答えると柔太朗は、
少しだけ安心したように頷いた。
……なんだか両側から心配されている。
💛「……。」
落ち着かない。
でも…嫌じゃなかった。
そのあとも映画は続く。
そしてまた突然、画面の中の空気が
一気に緊張感を増した。
💛「……っ。」
思わず少しだけ肩に力が入る。
その瞬間、
ぎゅっ
勇斗先輩の手が、
さっきより強く握られた。
💛「……?」
俺はそっと勇斗先輩を見る。
🩷「……。」
勇斗先輩は何事もなかったような顔で、
真剣に映画を見ていた。
💛「……先輩。」
🩷「ん?」
💛「……先輩も、びっくりしたんですか?」
🩷「は?」
💛「今、手……。」
🩷「……。」
💛「強く握りましたよ。」
🩷「握ってない。」
💛「握りました笑」
🩷「……。」
しばらく沈黙。
そして、
🩷「……びっくりしただけ。」
💛「笑」
🩷「笑うな。」
💛「すみません笑」
💛「……先輩でも、びっくりするんですね。」
🩷「俺を何だと思ってるの。」
💛「いつも余裕そうなので。」
🩷「……そんなことないよ。」
そう言って勇斗先輩は
少しだけ俺の方を見る。
🩷「仁人だって、びっくりしてるじゃん。」
💛「俺は……。」
言いかけて勇斗先輩の手を見る。
……。
結局。俺たちはまだ手を繋いでいた。
💛「……。」
🩷「……。」
……離す気ないんだ。
俺も離さなかった。
映画が終わる。
館内が明るくなった。
その瞬間。勇斗先輩の手が、
ゆっくり離れる。
💛「……。」
……なんだ。
少しだけ寂しい。
そんなことを思ってしまった。
💙「めっちゃ面白かったな!!」
❤️「太智、途中めっちゃびっくりしとったやん笑」
💙「してへん!」
❤️「してたって笑」
🤍「……してたよ笑笑」
💙「柔太朗まで!?ってか遠いのによく見てたなぁ〜笑」
みんなが楽しそうに笑っている。
俺も思わず笑った。
映画館を出るともう、
空は少しだけ夕方の色になっていた。
💙「夏休み、ほんま早かったなー。」
❤️「なんか、あっという間やった。」
💛「……うん。」
ふと今年の夏を思い出す。
屋上。
夏祭り。
花火。
お泊まり。
ゲームセンター。
手持ち花火。
そして、
今日の映画。
……こんなに誰かと過ごした夏休みは、
初めてだった。
🩷「仁人。」
💛「……はい?」
勇斗先輩が俺の隣に来る。
🩷「夏休み、楽しかった?」
💛「……はい。」
少し考えてから。
💛「……すごく、楽しかったです。」
勇斗先輩が嬉しそうに笑った。
🩷「そっか。」
💛「先輩は?」
🩷「俺も。」
少しだけ間があったあと、
🩷「仁人といっぱい会えたから。」
💛「……っ。」
また…そんなことを簡単に言う。
言い終わったあとの笑顔も不意打ちだ。
💛「……それ、俺だけじゃないですよ。」
🩷「でも、仁人もいたじゃん。」
💛「……。」
……ずるい。
勇斗先輩は本当にずるい。
そのとき、
🩷「そういえば。」
勇斗先輩の手が俺の頭にそっと触れた。
💛「……!?」
ぽんぽん
と優しく頭を撫でる。
💛「……な、何ですか。」
🩷「別に。」
💛「じゃあ、やめてください。」
🩷「嫌。」
💛「……。」
そして勇斗先輩の指が、
少しずつ赤くなる俺の耳に触れる。
🩷「耳赤くなってる。」
💛「っ///……。」
🩷「可愛い」
💛「……えっ///」
……もう。無理だ。
絶対、顔も赤くなっている。
💙「おーい!」
少し前から太智の声が聞こえた。
💙「そんなにイチャイチャしてたら置いてくでー!」
❤️「笑笑」
🩷「はーい。」
勇斗先輩は俺の耳からゆっくり手を離す。
💛「……。」
そして何事もなかったように歩き出した。
俺はしばらく動けなかった。
ドキドキが鳴り止まなかったから…。
みんなを追いかけて、舜太と太智に
「イチャイチャしすぎ〜笑」
とからかわれたあと、
柔太朗が俺の所に来た。
🤍「……仁人くん。」
柔太朗が、俺の顔を見る。
💛「……ん?」
🤍「……顔、赤いよ?」
💛「……暑いから。」
🤍「……そっか。」
……絶対信じていない。
でも柔太朗はそれ以上何も言わなかった。
柔太朗は少しだけ勇斗先輩の方を見た。
その目は鋭かった。
五人でまた帰り道を歩く。
夏休みが終わる。
学校が始まる。
きっと今までとはまた違う毎日になる。
でも今年の夏は今までで
一番、誰かと笑った。
一番、誰かと過ごした。
一番、楽しかった。
だから、
――夏休みが終わってほしくない。
そんなことを初めて思った。
コメント
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読了しました。第18話、夏休みの終わりが近づく日常と、映画館での細やかな距離感の変化がとても丁寧に描かれていて、じんわりきました。 特に勇斗先輩が仁人さんの手を握る流れ、あれは「怖い?」と聞いておいて自分もびっくりして強く握っちゃうところが可愛くて、仁人さんの「離す気ないんだ」という気づきにもグッときました。そして柔太朗の静かな心配と、最後の鋭い目——この二人の仁人さんへの向き合い方の違いが同じ場面で描かれる構成が好きです。 「夏休みが終わってほしくない」と初めて思った仁人さんの心情が、これまでの積み重ねを感じさせて温かい余韻を残してくれました。次が気になります。