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︎︎⚠︎︎注意⚠︎︎

・ご本人様方には一切関係がない

・捏造、妄想要素が激しい可能性あり

・特徴を捉えきれていない部分が多々あり

・恋愛要素が今後恐らくきっとほぼない

・868のBOSSたちがロスサントスに入国する以前の物語


※注意事項は今後も増えていくと思います。一旦はこれらをご了承の上、創作物をご堪能ください。


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☆今回いつもより話が長いです!また、実際の事件を少し改変している部分がありますので、注意して楽しんでください。






(さすがにもう犯罪は起きないだろう。)

長年の勘がそう思うタイミングで、俺は屋上のヘリポートへ足を運んだ。何件も大型犯罪をハシゴしたせいで、乗っていたヘリはどれも破損寸前である。目前の冷たい機体に触れ、感謝の言葉を述べる。


「今日もありがとね〜、助かったよ。」


地上部隊と違い孤独に戦う俺にとって、ヘリは頼れる相棒のような存在であった。時には武器や防具となって、何度も俺を救ってくれる。

そんな相棒たちを労うため、手入れは毎日欠かさずに行っている。単にヘリ好きだからかもしれないが、数少ないChillタイムでもあったため、とても好きな時間…だった(過去形)。


「レダーさん、いつもここにいるっすね。」

「げっ、成瀬……さん。」


最近、と言っても2ヶ月前のことだが、成瀬タコというやけに顔立ちの整った女性がやって来た。別の署で働いていたものの、馬が合わなかったようでこちらに移ったらしい。オールラウンダーでなんでもこなすため、次期署長になるのではと噂されている。それほどエース的活躍をしており、署員からも絶大な信頼を得ていた。

(ただ、年下のくせに生意気で、俺には当たりが強いから苦手なんだよな。)


「さん付けはいいっすよ。それより、なんでいつもヘリのメンテナンスしてるんすか?事務作業とかもやってんのに。」

「?いや別に、そんな大した意味は無いよ。」

(ヘリ労うなんてちょっと馬鹿馬鹿しいしな。)

「他のヘリ部隊の人に頼めば良くないっすか?」

「いや、乗る時間は俺の方が圧倒的に多いし、好きでやってるからいいんだよ。」

「ふーーん。───。」

「なに、文句でもあります?」

「いーや?何もありません⤴︎︎︎」







それから、成瀬は俺がヘリポートに行くと分かると付いてきたり、芹沢を連れて手伝いに来たりするようになった。何がしたいのか俺にはさっぱり分からなかったが、タスクが少し減ったことには感謝している。加えて、成瀬は主に俺に警察の在り方を語るようになった。サボる時間があったっていいとか、大型犯罪を対応するだけが警察の仕事なのかとか。どれも正論で何も言えなかった、というより成瀬の人としての強さが感じられて羨ましくなった。

(俺の正義も実現出来る日が来るのかな。)

警察という仕事に希望を抱いたのは、ちょうど成瀬と打ち解け始めたこの時期だったと思う。







今日も今日とて大型犯罪の通知が鳴り、俺はヘリポートへ向かう。エンジンを起動させ、

(ユニオンなら、サーマル見て生存重視だな。)

と確認しながら飛び立った。



(クソっ、やらかした。)

敵の位置を把握出来ず撃たれてダウンしてしまい、救急隊によって病院に搬送された。


「今日も大変だね〜、ほんとにお疲れ様だよ。」

「いえ、とんでもないです…。」

「あぁ〜重傷なのにごめんね、すぐ治すからもう少し頑張ってね!」


相変わらず署員たちは、忙しなく事件対応に追われ、市民対応まで手が回らないほど疲弊していた。そんな警察と連携し、毎日支えてくれていたのは救急隊の方々である。事件対応後のサポートはもちろん、可能な範囲で市民対応を行い、警察の評判を下げないよう活動してくれていたという。また、人柄も穏やかで気さくな方が多いため、署員たちにとっても唯一の癒しだったであろう。俺自身は、ダウンや怪我の治療で病院に行くことはあまりなかったが、牢屋対応の際によくお世話になっていた。

(久しぶりにやらかしてダウンしたな…。救急隊には感謝してもしきれない。)

そんなことを考えている間に、治療を終えて署まで送迎していただくことになる。松葉杖の状態で車に乗ろうとした時、1人の救急隊が青ざめた顔をしてこちらにやってきた。俺を送迎しようとした上官らしき方は、心配そうに声をかける。すると、震えた声で話し始めた。


「私、ギャングの方を轢いてしまって…。搬送もせずやってきた警察の方に受け渡してしまいました…。」

「ギャングって、今ユニオンをしている…?」

「はい、今犯罪している方々のギャングです。」


(まずいことになった…。このままでは、ギャングが救急隊の方に報復しに来る可能性がある。)


「とりあえず、警察には無線で共有をしておくので、病院で待機していてください。」

「そうだな、俺もいてやりたいが送迎と患者の治療をしに行かないといけない。少しの間だけ、身を守って待機していてくれ。」

「分かりました…。」


そう言って俺は、警察の無線で共有し警察署へと向かった。上官たちも頭を悩ませ、複雑な問題であるという見解にいたった。どうすべきか考えている間も、大型犯罪の通知は鳴り止まない。俺もヘリで向かわなければいけないため、気にかけつつも後にしてしまった。







『すいません、聞いてください!先程、レダーさんが言っていた件なんですけど。救急隊の方がギャングに誘拐されたようです!』


無線は混雑しているはずなのに、動揺してだんだん聞こえなくなる。

(救急隊が誘拐された……?)

嘘であれと思いつつも、無線での報告は続く。


『あの、無線で共有を受けて病院に行ってみたんですけど、既に誘拐されていたようで────、GPSを見たとこ……。─────せん。』


(そうだ、どうして俺はあの時点で保護しなかったんだ。そりゃ病院で待機なんかさせたら、ギャングに拉致られるに決まってんだろ!!)

気づけば救急隊の無線に入り、状況を聞いてヘリを操作していた。








救急隊のGPSや警察での共有、市民からの情報を元に誘拐されたであろう現場にたどり着く。そこには痣だらけの女性が倒れていた。その女性をギャングは囲うようにしていたが、そんなものはどうでもよかった。

(俺が救えたのに…、救えたはずなのに。)

無惨な光景を見ることしか出来ない俺の横に、芹沢と成瀬もやって来る。上官たちも揃っている中、聞いたこともないくらい低い声で成瀬がギャングと話し出す。


「なんだよこれ…。」

「この女はね、私たちの仲間を轢いたんですよ?謝りもせず治療もせず、仕事の邪魔をしたんです。」

「だからって…。」

「関係ないのは警察の方ですよ?何しにこんな所まで…、誘拐拉致監禁の切符でもきりに来たんですか?そんなのはお好きにどうぞ。」

「関係あるよ、市民を守るために来てんだこっちは!」

「いやいや、守れてないじゃないですか。そもそも守る必要なんてないんですよ、悪いのはこの女ですし。」

「……解放の条件はなんだ。」

「ここで解放してもいいですけど、私たちはこの女に報復し続けますよ?嫌なら本人にこの落とし前を付けてもらわないと。」

「いや、一旦救急隊や警察で話し合わないと。」

「でもねぇ、1億円で許してくれって交渉されちゃったので。」

「え……?」


どうやら、大金を支払って落とし前をつけることを本人が望んだらしい。成瀬が何を言っても、上官たちがどんな策を出そうにも、轢いた張本人がそう言ってしまってはどうにも出来ない。長い話し合いの末、結局ギャングに大金を支払っての解放となった。この何とも言えない後味の悪さだけが、俺の心の奥底でへばりつく。

(俺は、市民も救急隊も誰1人として守れないのか。法にしか従えない警察なんて、何の役にも立たない、何も出来ないんだ…。)

何かが崩れていき目の前が真っ暗になる…そんな感覚を初めて味わった。



上官から、俺が運転するヘリで病院まで送迎するよう頼まれた。後部座席には、心身ともにボロボロとなった女性に寄り添い、成瀬がひたすら声をかけている。病院に着くと、多くの救急隊が出迎えてくれた。俺たち2人はこれまでの経緯を話し、警察としての不甲斐なさから誠心誠意謝罪をした。


「謝らないでください。警察の方々にはやれること全てやっていただいて、感謝しかないのですから。」

「でも、俺が救えたはずでした…。」

「いいえ、どうしようもなかったんです。だから、そんなに落ち込まないでください。」




ヘリに乗って警察署に戻る途中、成瀬と会話を交わすことはなかった。喉から胸にかけてが熱く、苦しくて声が出なかった。ヘリポートに着陸し、成瀬がお礼(?)を言っていたが聞き逃した。


「警察もギャングもクソだ。」


俺が唯一救えたと思うと憤りを感じ、やり場のない感情はそんな言葉へと変えた。




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