メニューには、ミコ&リコのキャラクターをモチーフにした、見た目にも可愛らしい料理の数々が並んでいた。
「私は、これにします。この、ミコのお昼寝カレーライスに」
それは、双子のこぐまのミコの形をしたライスに、カレーがお布団のようにかけられているものだった。
「そうか、僕は……どれにしようか」
「あっ、チーフは、他のメニューでも。コラボじゃない普通のものもありますから」
さっき照れくさいと口にしていたこともあり、あんまりかわいい料理はさすがに食べにくいかなとも思った。
「いや、僕もコラボメニューで。せっかく来たんだしな」
チーフが、またしても胸がキュンとしちゃいそうな照れ笑いで、そう口にして、
「僕は、これにしようか」
と、メニューの一つを指差した。
その料理は、黄色くて丸いふわとろのオムライスの上に、薄いピンクに色付けをされたリコを形取ったライスがちょこんと顔を出している、「リコのお月さまオムライス」というものだった。
「それも、かわいいですよね。私も、そのリコのオムライスと、どちらにしようか迷いました。だけど、やっぱり自分の名前に似てるミコの方にしようかなと思って」
「ああ、うん、そうだな。……君の、美都と言う名前は、ミコに似てるよな」
話の流れではあったけれど、チーフに名前を呼ばれたことに、心臓がとくんと音を立てて跳ね上がる。
「うん? どうかしたのか?」
一瞬、頬が赤くなり、両手でほっぺたを押さえた私を、矢代チーフが気遣うようにも見つめた。
「ああ、いえ何も。ちょっとここ暑いですよね?」
少しわざとらしいような言い訳をして、片手でパタパタと扇ぐ真似をする。
「暑い? ちょうどいいくらいの室温だと思うが」
と、天井にある空調を見上げて言うチーフは、どうやら本当の理由には気づいてはいないようで、私は密かにホッと胸を撫で下ろした……。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!