テラーノベル
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※attention.
こちらの作品は、
作詞作曲カンザキイオリ様の作品である
『あの夏が飽和する。』の
類司パロディです。
死ネタ、個人解釈、クズ代、闇司等有り
進級前です。
そして僕たちは、途方も無いのに逃げ出した。
この狭く、僕達には息苦しい狭いセカイから。
家族も、
クラスの連中も、
仲間も、
――全部。
置いていくというより、
最初から無かったみたいに僕は一度も振り返らずに背を向けて逃げた。
僕の右手を握る君の手は、まだ少し震えていて。夏なのに寒さに震えるように君は全身を震わせていた。
君は、歩きながらも何度も息が詰まって、
声にならない嗚咽を漏らしている。
そんな君を見て、僕は不意に、可笑しくなった様に笑った。
「……ねぇ」
月明かりの下、僕は君の小さな手を握り逃げながら。君の方を見る。
僕の声に反応して下を向いていた君の幼い顔が僕の月色の瞳と君の太陽の瞳が目があった瞬間、僕は目も口も笑っていたと思う。
「遠い遠い、誰もいない場所で、…」
「二人で、死のうよ」
自分でも驚くぐらいあまりにも穏やかな声だった。君は、何も言わずに目に涙を貯めて一雫、君の綺麗な涙が地面に落ちた。
否定も、同意もできずに君はただ僕を見る。
不安なのか、嬉しいのか分からないで雫をただ落とす君の顔は、僕に酷く美しく見えてしまった。
僕達には、このセカイにもう価値なんて無かった。
そう思った瞬間、胸の奥がただただひどく静かになり心のと頭の中に何か黒く恐ろしいモノが溢れ出した。
「……人殺しなんかさ、…」
僕は、独り言みたいに薄笑って呟いた。
「……そこらじゅうに、湧いてるじゃないか…」
ニュースの向こう側。
交通事故にあった、通り魔に刺された、学校の虐めで一人娘を亡くしてしまった、
淡々と日常の中で流れていく画面の中そんな文字。
名前も顔も、性別もどんな人柄かも知らない人なのに誰かが死んで可哀想なんて言うのに。それなのに、虐めを受けて心がボロボロになった君だけが罰を受ける理由なんてどこにもない。
君は、ずっと泣いていた子供みたいに声を殺して、僕に聞こえないように嗚咽を繰り返して、肩を震わせながら。
僕は、その小さくて脆くなってしまった背中にそっと手を置き君に言う。
「君は、何も悪くないよ」
何度も、何度も。
「悪いのは、全部この世界の方だよ」
「君は、ただ…運が悪かっただけだよ、」
優しく、君の罪悪感が消える様、言い聞かせるみたいに。
君が犯した罪だとか、僕達が今やっていることが真実かどうかなんてどうでもよかった。
ただ、君が僕から離れないように、
僕の傍だけ安心して欲しくて
この言葉を繰り返した。
夏の夜は、どこまでも続いていく。
二人きりの逃避行は、
もう後戻りできないところまで、
静かに進んでいた。
続く……1000
コメント
5件
毎日投稿本っ当に有難うございます!今日から学校で見るのが遅くなってしまいました、、類くんがクズ代か優しいのか分からない台詞いっていますね、、
クライマックスはまだだけど、もう泣きそうになりました…! 類くんのセリフの「君は、何も悪くないよ」や、「悪いのはこの世界の方だよ」など、のセリフがめっちゃ刺さりました…! 長文ですみません!!!