注意事項はあらすじか第一話の冒頭部分をご覧ください
青赤要素強め
白赤も若干あります
アホみたいに長いです(約6000文字)
本編後に雑イラスト有り
ようやく全員出せました
そろそろ旧の方に追いつけそうなので頑張ります
ここまで大丈夫な方のみどうぞ
「…けほっ…」
薄々リウラは気付いていた。
「(これ熱出てんな)」
妙に熱い体と奇妙な怠さ、そして咳。
確定演出という表現がぴったりな状況に、リウラは静かな溜息を漏らす。
元々リウラは体が弱い。
一ヶ月に一回くらいは体調を崩す。
その大体が、微熱や少しの喉の痛みなど軽い体調不良なのであるが…
「…やばいかも、これ」
いつもとは違う、ずぅんとした体の重み。
明らかに正常時とは異なる呼吸音が口から溢れているのに嫌でも気づく。
朝から何となく体の不調を察してはいたものの、無視して作業を続けるうちにここまで重くなっていたとは。
よりによって一人で作業してる時に…
ちっ、と軽く舌打ちして、リウラは立ち上がろうとする。
しかし
「(あー…無理だわ、立てねぇ)」
半ば椅子から落ちるように、ずるずると床に座り込んでしまった。
というか立てたところでバレる。
構成員も幹部も皆察しが良い。ありがたいことではあるのだが、今この状況ではそれが迷惑に思えた。
バレたら間違いなく怒られる。完調した後どこぞの長髪殺し屋からデコピンされる。
デコピンくらうのも嫌だけど、もっと嫌、というか避けたいのは、周りの構成員と幹部に余計な心配をかけてしまうことである。
だとしたらここで助けを求め、回復するまで大人しくしてるのが懸命な判断であろう。
リウラは自分の中でそう結論づけ、携帯を取り出す。
「(…今仕事中だよな。申し訳ないけど)」
ぽちりとボタンを押し、幼い頃から自分を気にかけてくれている青髪に電話した。
「…りうらさーん…?」
3回扉をノックする。
そのボス室の重厚な扉からは低い音が響くが、部屋の中から反応はない。
ホトケは訝しく思いながらも、またノックを繰り返す。
…まだ寝ているのだろうか。流石に遅すぎるような気もするけど。
昨日も仕事に追われて疲れているんだろうか。
そんなことを思いながら佇んでいると、視界の端にもうすっかり見慣れた青色が映った
「あれ、いふくん? なんでここにいんの?」
ホトケの姿を目でとらえ、露骨に顔を嫌そうに歪めるイフ。
「…お前こそなんでここおるん」
「書類整理が終わったから、りうらさんの所に必要な書類を…って、いふくん今日会合かなんかなかったっけ?」
「他の幹部に任せて抜けてきた」
「サボりってことかぁ」
「違ぇわ」
イフの返しが投げやりなのはいつものことなのでさして気にならなかったが、少し引っかかる。
…あのバカ真面目ないふくんが会合を抜ける?
もうダイスに加入して2ヶ月近く経過しているから、大体の構成員や幹部の名前やら性格やらは知っている。
イフは”いつも会合やら任務やらに追われてる可哀想な仕事人間”という印象が強い。
過去には仕事で五徹して会議で倒れたというエピソードが残っているくらい(アニキ談)
気に食わない奴だとは思いつつも、ダイスの為に全力を尽くしているその姿には素直に感心していたのだ。
そんなイフが会合をわざわざ抜けて
今、ボス室の前に居る…
そして扉をノックしても中から返答はない
それが意味するところとは
「りうらさん…体調不良…?」
「お前リウラ関連だと気持ち悪いくらい察し良いよな 」
「体調不良って…いふくんが看病するの!?」
「なんか文句あるか」
「料理も洗濯も食器洗いもマトモに出来ない人が他の人を看病出来るわけないじゃん!?」
「殴っていいか?」
「事実でしょこの段ボールハンバーグ野郎!!」
「おまっ…なんで知ってんねんそれ!!」
「りうらさんから教えてもらった…まぁ普通に考えて?一人でハンバーグも作れない奴だけじゃ誰かの看病なんて出来ないよね?」
「後でりうらしばく」
図星ではあるのか、反論はせず今この場に居ないリウラへの恨み言を口にするイフ。
そんな彼の元にホトケはつかつかと歩み寄った。
「…何、何しとんのお前」
「いふくんだけに看病任せたら悪化するでしょ。僕も手伝う」
「お前なぁ…いい加減その態度どうにかしたらどうなん? 言っとくけど幹部にタメ口きく構成員とか前代未聞すぎるからな」
「いふくんにだけだから」
「嬉しくねぇな」
「あと、お前りうらに書類渡しに来たんやっけ。俺が預かっとくからもう戻れ」
しっしっと手で追い払うジェスチャーをするも、ホトケは一切動く素振りを見せない。
「ねぇお願いです…純粋にリウラさんのことが心配なだけなんですほんとに…」
「無理なもんは無理やって。急に敬語になるのなんなん」
「マジガチで誠意見せたいときは敬語くらい使えます僕」
「たかが一端の構成員に許可するわけないやろ」
ホトケの方を見向きもしないで、イフはボス室の扉の鍵を取り出す。
本当に心配なのは事実なのか、不安そうな表情を見せるホトケにイフはこう吐き捨てた。
「はっきり言うけど、俺はお前のこと信用してねぇからな」
「…え?」
「書類整理係として役立っとるのはええけど、あんまり調子乗んなよ」
「ちょっと…いやまぁ自覚はしてるけどさ、そんな対面ではっきり言わな」
「なぁホトケ」
イフの低い声が 先程よりも深く響く。
食い気味で台詞を止められたホトケはむっと顔を歪めるが、此方を見つめるイフの目に思わず口を噤んだ。
「今ちょうど、お前が吐いたグラーブのアジトに構成員達が任務で向かっとんねん」
「…お前が嘘つきかどうかもうすぐ分かるってことやね」
拷問部屋のときと同じ目をするイフ。
もっとも、今では優しさの欠片もないが
「…そっかそっか。じゃあその構成員達が戻ってきたとき、僕は初めてダイスの構成員として君に認められるんだね」
「お前が嘘つきじゃなけりゃな」
「…アンタって本当に僕のこと信用してないんだ」
ホトケが苛立ちを隠そうともせずに、イフを睨みつける。
イフも引くことなくホトケを睨む。
「ハイハイ一旦落ち着いてーな〜」
今にも暴力沙汰になりそうな険悪ムードの中、
そんな空気に合わない間延びした声が響いた。
「…え?」
「ショウ。お前随分と到着早いやん」
「いやぁ、丁度お仕事が終わったところやったからなぁ。タイミング良かったわ」
ふわふわと話し始める白髪の男。
親しげにイフと会話し始めている..ダイスの人間なのだろうか。
「なんか大丈夫そ?めちゃくちゃ喧嘩しそうな雰囲気やったから止めちゃったわ。お邪魔やったらごめんな」
「…あー…まぁ、心配せんでええよ。あと」
イフがホトケを指さす。
「コイツが例の奴な」
「…あぁ!りうちゃんに初対面で告白したっていう元敵幹部の子か!」
紫の瞳を爛々と輝かせ、人懐っこそうに話しかけてくる男。
「…いふくん、この人誰?」
「コイツはショウな。ダイスの幹部やけど医者でもあるから」
「どーもどーも初めまして!! 君は…ホトケ君よな? 俺がショウ、よろしくな!」
ニコニコと微笑んで握手を求めるショウに、ホトケは一種の感動のようなものを覚えていた。
「なんか感動なんだけど…ダイスにこんなマトモそうな人居たんだね…」
「お前が言うんそれ…あとこう見えてショウもかなりヤバ」
「今は取り敢えずりうちゃんの看病せな!!!」
イフの台詞を食い気味で遮るショウ。
そんなショウを見ながら、ホトケは恨めしそうに呟く。
「…お医者さん来るって知ってたら、僕もあんなしつこく食い下がらなかったんだけど」
「…確かに言えばよかったな。すまん」
「しおらしいいふくんキモいね」
「ぶっ殺すぞ」
「あ、二人って仲良かったんや!」
「ショウってほんまに医療関係以外ではとんでもないアホよな」
「それ褒めてる?」
「褒めてるって思えるならお前の人生幸せやね」
「照れるわぁ〜♡」
あかんわコイツ、と呆れるイフを横目に、ホトケはショウに話しかける。
「あの…ショウさん! 僕もりうらさんの看病手伝いたいんですけど…ダメですか?」
「あぁ、ええよ」
「は???」
ノータイムで許可を出すショウに、イフは困惑の声を漏らす。
ホトケは歓喜した。
「やったあぁぁぁぁぁ!!ありがとうございますショウさん!!!!!」
「ええよええよ〜そりゃ好きな子が風邪引いたら心配よなぁ」
「分かってくれますかこの気持ち!? いやぁ〜どこぞの青色と比べてショウさん優しい!!」
「おいショウ!!! 看病に関してお前に決定権があるのは重々承知やけどこの変態にあの状態のリウラ見せて良いと思っとるん!!??」
「…確かに」
「それに万一のことがあったら…」
「でもさ、」
必死に説得するイフにグーサインをして、ショウはこう言った。
「おもろそうやん?」
「…」
やっぱあかんわコイツ、とイフは脳内で呟いた。
そんな会話をしていると
ガチリ、とボス室のドアが開いた。
「「「あ」」」
「…っ…お前らうるせぇっ…」
扉に寄りかかりながら絞り出すようにリウラがそう言ったことで
「「「…すみませんでした」」」
3人はようやく、リウラの看病にシフトチェンジしたのだ。
「…リウラ、まじですまん」
「いや…仕事中に呼んじゃった俺も悪いんだけどさ…一応病人がいる部屋の前だからね…?」
「ごめんりうちゃあぁぁぁぁぁぁぁん!!!」
「しょうちゃんうるさい….でも来てくれてありがと…」
「大丈夫かリウラ?結構しんどそうやけど」
「ん…一旦寝ててもいい…?」
「寝てろ寝てろ。あと多分着替えた方がええやろ」
「りうちゃんパジャマ持ってきたで!!」
「ありがと…」
苦しそうに息を吐くリウラをせかせかと看病する二人。
その手際の良さに特にすることがなくなり、ホトケは少し離れたところで立ち尽くしていた。
目はガン開きでリウラを凝視している。
「…お前もしかしなくても『風邪引いたりうらさん可愛いいいい』とか思ってんだろ」
「そんなこと無いことは無いんだけどさ…」
「思っとるんやんキッショ」
イフの罵倒は聞こえない振りをし、ホトケは先刻から思っていたことを口にした。
「りうらさんなんかキャラ違くない??? 」
「こうなるからコイツ入れたくなかったんに…」
普段の冷酷無比なボスの姿は何処へ行ってしまったのか、ぽやぽやと効果音がつきそうなくらいに気の抜けた表情をしたリウラ。
甲斐甲斐しく二人に看病されている姿はさながら三人兄弟の末っ子のよう。
「ぽやぽやしてるりうらさんかわ」
「ほとけうるさい…」
思わず本人の目の前で変態発言をしかけたホトケをリウラが弱々しい声で遮る。
その殆ど覇気のない声と急に話しかけられたことに再度心を乱されながら、ホトケは辛うじて謝罪した。
「すっ…すみませんりうらさん…」
「…看病しに来てくれたの?」
「えっあっ…はい」
思わず口元を手で押さえながら返答するホトケ
(鼻血防止)
「…余計なことしないでね」
「…あっ…….はい」
「リウラお前には冷たいまんまやね」
「いや、逆にいつも通りで良かったよ…破壊力えぐすぎるこれ」
「鼻血出てんぞ」
「りうらパジャマ着替えたか?」
「ん…きがえた」
「結構熱高めやねぇ…僕は基本的に近くにおるから、しんどくなったら教えてな」
「うん……ごめん、まだ報告書とかぜんぜん見れてない…明日までには治すから大丈夫って構成員と幹部の人に伝え」
「仕事の心配すんな…謝んの禁止っていつも言ってるやろ」
「でも」
「でもじゃない。明日までに治る保証もないねんから無理すんな。」
「…はい」
「じゃあ、俺そろそろ会合戻らんといけんから。おやすみ」
ぽんっとイフがリウラの頭を優しく撫でて、椅子から立ち上がろうとする。
それを阻止するように、リウラがイフのコートを弱々しく掴んだ。
「……もうちょっと居てくれない?」
「…しゃーないなぁ」
再度椅子に座り直し、今度はしっかりと、優しくリウラの頭を撫でるイフ。
「っ…えへへっ…」
何とも嬉しそうに微笑むリウラの顔は
裏社会のトップには見えなかった。
「(声にならない悲鳴)」
「ほとけくんうるさいよー」
「ぐぅ゛っ…笑ってるりうらさんかわいい…いふくんが憎いぃぃ…」
「まぁ許したってやほとけくん、まろちゃんってりうちゃんの親みたいな感じやからさ」
イフとリウラの会話を横目に、ホトケは静かに騒ぎ始め、ショウはそんな彼を宥めている。
「さっきまろちゃんと喧嘩してたやろ?ごめんなぁ…多分まろちゃんが厳しいこと言ったんやと思うけど…あの人ダイスってか、りうちゃんの為に全力尽くすタイプの人やからね」
「りうちゃんのこと守りたすぎるだけやねん。キツイとこあるかもしれんけど、めっちゃ優しい人やからそんな嫌わんであげてな?」
「…それはそうだけど」
ショウの言うことは理解できるが、まだイフへの嫉妬心は抜け切らない…とでも言いたげに少し頬を膨らませるホトケ。
「それに、いずれりうちゃんを嫁さんに貰うってなったときにはまろちゃんの許可無いと多分無理やろ?今のうちに印象は良くしといた方がええ」
「……りうちゃんを嫁さんに貰う???」
「ほとけくん、今はまろちゃんっていう超強力なライバルがおるけど諦めないでな!!僕は応援しとるから!!! 」
「…ありがとうございます!!!」
急な話の飛躍に困惑しつつも、取り敢えずホトケは勢いそのままに感謝を述べた。
…いつか、何の抵抗もなく寝顔見せてもらえるくらい信用される日は来るのだろうか、
なるべく早く来てくれたら嬉しいな、と
ホトケはリウラとイフを見つめながら考えていた
登場人物紹介part5
ショウ・アメトリン
ダイスの幹部の一人
体力は常人並み
毒や薬の知識が豊富な闇医者で、肉弾戦には弱いものの恐れられている
お人好しで愛され体質
ユースケを慕っている(自称ユースケの舎弟)
ようやく全メンバーさん出せました。うれしい
もうそろ夏休み期間入るので投稿頻度をがんばりたいです
全メンバーさん登場したので各々のビジュ(手描きイラスト)見せてもいいですか(唐突)
今回からメンバーさんのビジュを一枚ずつ載せようかなって思いまして…
すみません承認欲求と自己顕示欲の塊なんです
とても雑なので無理な方は今のうちにブラウザバックを
注:創作衣装です
最初は赤さんのビジュから↓
線が雑い
ボンパってむずかしいですよね
おまけ(表情差分)↓
結構かわいく描けたのかもしれない
以上です。激長でしたごめんなさい
閲覧ありがとうございました
コメント
4件
朝からこのお話が見れるとは…!(߹𖥦߹) ここの赤さんの風邪引き大好きだったのでめちゃくちゃ嬉しいです…✨ ネクタイピンがひよこなのがめちゃくちゃ可愛いです…🫠 余談なのですがくれいじーらぶの方々を描いて投稿してもよろしいでしょうか…??
めちゃ早く見れました✨ 絵めっちゃ上手ですね!✨うち絵が下手なので尊敬します! 続き楽しみにしてます♪