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りるら
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𝒩𝑜𝒶 𑁍𓏸𓈒
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シャルル・アント
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汐梨
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.。 .:・.。. .。.:・
ジャスティンと最後にあんな別れ方をしてから・・・二か月も会ってなかった
今、竜馬は軽い不眠症になり、昼間どんなに疲れていても、夜ジャスティンのことを考えると眠れなくなった、そんな時にはカルロスの家で一晩中眠れず、窓から月を眺めていた
そして・・・月が段々小さく淡くなり、星々の間を登っていき、家の屋根の上を横切って、とうとう見えなくなって、大地から朝日が昇ってくるのを・・・何日もぼんやり眺めていた
そんな時はジャスティンの、あの時の顔も一緒に蘇った、苦しそうな顔・・・怒り・・・そしてあの最後に起きた瞬間・・・カジノにはちゃんと働きに出たが、ジャスティンは二階のルーレットのディーラーになっており、一階の竜馬とは顔を合わすことはなくなった
竜馬は思った・・・もしこのままお互い相手を完全に無視していれば、あの時の会話の記憶はしだいに薄れていき・・・やがていつかジャスティンと何か話さなければいけなくなった時も、礼儀正しく話をして、どちらもあの暴露の瞬間を意識しつつ、知らぬフリでいられるのではないかと
自分がジャスティンに言った言葉は本音だ、もしあの時の事を忘れてまたもう一度友達に戻りたいと竜馬が言えば・・・自分が折れたことになり、そしてジャスティンは再び自分を襲うだろうか・・・そうなったら次はジャスティンを殺そう
本気で竜馬は考えていた、自分は悪くない・・・だけどジャスティンのいないアメリカが、これほどつまらないものとは思っていなかった
ここ数日、再び自分がこの家に来たばかりに感じた心細さや無力さを感じていた、竜馬の人間関係はすべてジャスティン経由だったし、学校の友達とはもう随分長い間疎遠で、今さら必死でツルめる相手を探そうなどとは思わなかった
結局の所は何も変わっていなかったんだ・・・そして世界の果てで竜馬はまた独りぼっちになった
悲しくてまた涙が溢れてくる、いったい今の自分に何の価値があるのだろう、誰が必要としてくれているのだろう、学校も授業も何も面白くなかった、夜はずっとカルロスの家から一歩も出ずままずっと月を眺めた
ある晩、コーラを取りにキッチンに降りて行くと、カルロスが泥酔してソファーで大いびきをかいて寝ていた、初めて見た時よりカルロスの腹は1.5倍に育った気がする、大きな突き出たお腹がカルロスがいびき音を立てるたびに上下に動く、竜馬はため息をついて思った
今やはコイツは立ち小便をする時におなかが邪魔で自分のモノが見えないのではないだろうか?いやきっとそうだろう、そう考えるとカルロスの使う一階のトイレだけは絶対使わないでおこうと心に決めた
そこでまたジャスティンを思い浮かべる・・・ジャスティンの家は秘密基地みたいでとても居心地が良かった、あそこでなら竜馬は何不自由なく快適でいられた
いつもジャスティンと笑っていたし、ジャスティンがどこかで「拝借」してきたエレキギターも練習していたし、倉庫でバイクのオイルを変えながら喧嘩の話しに盛り上がったり、銃の腕前もお互いに競い合った
そうそう、あの錆びれた鉄の階段も何か好きな色に塗り替えようと二人で話してたのに、竜馬はジャスティンの瞳の色に塗ろうと密かに思っていたのに・・・ため息をついてコーラを飲んで窓辺に佇む
今夜も月を眺めながら眠れぬ時間を過ごすのだろうか・・・すると遠くの方で車のライトがチカチカッと二回合図をした
―え?ジャスティン?―
ドクンッと竜馬の心臓が跳ね上る、見間違いじゃないかと目をごしごしと強くこすってみた、でも見間違いじゃない、また車のヘッドライトがチカチカ二回瞬いた、まさに二か月ぶりにジャスティンが竜馬に会いに来た!
竜馬は慌ててイボタノキの木に飛び乗り、体操選手のように枝を掴んで一回転し、地面に飛び降りた。ジャスティンの車に駆けだしそうになって・・・そこで思いとどまる、コホンッと咳を一つしてポケットに手を突っ込み、わざとゆっくり歩いて行った、車に近づくと運転席に不機嫌そうにジャスティンが乗っていた
―ジャスティンだ・・・―
.。 .:・.。. .。.:・
途端に竜馬の目に涙が浮かぶ、いいや!絶対泣かないぞ!!彼は竜馬には目もくれず、じっと前を向いている
「よぉ・・・」
ジャスティンはムッツリして言った
「うん・・・」
竜馬も無言でドアを開け、助手席に座ってじっと自分のスニーカーを見ていた・・・スニーカ以外見るものがなかった
その瞬間、ジャスティンの口から出るとは予想もしていなかった言葉が聞こえて来た
「すまなかった」
竜馬はスニーカーを見ながら目を見張った、他のどんな言葉を聞いても竜馬の怒りは静まらなかっただろう、ジャスティンは決して人に礼を言ったり謝ったりする人間ではない、けれどもその一言で下を向いていた鼻から鼻水が出て来た・・・目にはもっと水が溜まる・・・自分が泣いているのをバレないように必死で息を止める、泣き虫が泣くのを我慢する方法だ
「僕も・・・君を思い切り蹴飛ばしちゃったし―」
「お前は一切何も悪くない!頭がおかしかったのは俺だ、クソッ・・・こういうのは苦手なんだ・・・」
短い沈黙
「もう二度とあんなことはしない、もしお前が許してくれるなら・・・良い友達になれるよう努力する」
また竜馬は自分のスニーカーを見つめて目を見張った、ジャスティンには驚かされることばかりだ、ずっと締め付けられていた竜馬の喉が楽になった、油断してグスッと鼻を啜ってしまった、顔をあげてジャスティンを見ると・・・
二か月ぶりに見た親友の顔は・・・竜馬以上に情けない顔をしていた
目が暗さに慣れて来た、緑の匂いがした、乾いたオゾンに包まれた風・・・切ったばかりの植木の甘い香り・・・詰まっていた鼻さえ元に戻ったのだろうか?とにかくたった今、竜馬は何もかもが楽になった
ジャスティンがじっとまだ前を向いたまま、こう言った
「ミシガン湖のカモメ・・・見に行く?」
竜馬は照れくさそうに言った
「行く・・・」
.。 .:・.。.
そこからはまた二人はさくらんぼのように「二個一・(にこいち)」になった
コメント
1件
ああ、よかったですね…。二ヶ月ぶりに竜馬の前に現れたジャスティンが「すまなかった」って言うシーン、本当にグッときました。あのジャスティンが謝るなんて、それだけでどれだけ竜馬を大切に思ってるか伝わります。最後の「ミシガン湖のカモメ見に行く?」のやりとり、もう涙腺崩壊でした。二人がまた「さくらんぼのように二個一」に戻れて本当に良かった。