テラーノベル
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正直、ナイフって薔薇と同じだと思う。
薔薇には棘があって、
その棘を握れば、指先から血がにじむ。
ナイフも同じだ。
握れば手が汚れる。避けられない“汚れ”だ。
そして、いつの間にか、
自分の手も心も染まっていく
そして”手を汚す”
…でも気づいたら僕は握っていた。
誰かを守るつもりだったのかもしれない。
あるいは、ただの自己満足だったのかも。
正直、自分でもよくわからない。
一度握ったら、もう離せなかった。
気づけば何人分の血を見てきたんだろう。
その分だけ、手は汚れていった。
でも、
いちばん汚れてるのは
たぶん、心の方だ。
まだ、戻れるのかな。
いや、無理か。
でも、たまに考えるんだ。
もし、最初に棘に触れたとき、
誰かが「それはやめておけ」って言ってくれてたら——って。
……まあ、そんな奴いなかったけどね。
…いや、もしかしたら、いたのかもしれない。
ただ、気づけなかっただけかもしれない。
声をかけられても、耳を塞いでたのは僕の方だったのかも。
…正直もう遅いと思う。
たぶん何を言われても、
僕の手は、もう“綺麗な方”には戻らない。
だからせめて、
咲かせるなら、ちゃんと最後まで咲かせようと思う。
綺麗な花を、
もう、誰も踏まないように。
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