「彼女は牧野さん…俺のクラスの文化祭委員だよ」
日比野から紹介された
牧野梨里杏(まきのりりあ)と言う女の子…
ヒラヒラなウェーブの茶髪、
目はくりくりで大きくて肌も白くて…
「わぁ!柏木さんだぁ!可愛いっ」
話した印象もかなり女の子らしい。
ってか、可愛いのは貴方だから!
お人形さんみたいに可愛い!!
な、何なの!?
日比野とはどんな関係!?
動揺する私を他所に、日比野と牧野さんは
何かをコソコソと話しているし!
はぁ?何よその距離!?
「私は帰るねぇっ日比野君、柏木さん、また明日!」
牧野さんは私達にそう言うと、
小走りで教室を出て行った。
帰り際までキラキラ輝いて見える…
少女漫画の主人公みたいだわ。
「柏木さん、帰りにカフェに寄る?」
日比野の暢気な誘いに腹が立つ…けど
「行く」
私は口を尖らせて頷いた。
いつも日比野と行くカフェは、
ファミレスみたいに気軽な雰囲気で
値段もリーズナブル。
私はこの店のカフェラテが好きだ。
「柏木さんのクラスは文化祭の出し物…決まった?」
ホットの抹茶オレを注文した日比野は、
マグカップの中の抹茶オレを、口で吹いて冷ましながら話している。
何それ…あざと可愛い…
「私のクラスは屋台よ…チョコバナナだったかしら?日比野は?」
「俺のクラスはお化け屋敷」
「あら、大変そうね」
「うん、準備が大変だよ」
文化祭の準備…
私は里奈が居ないと一人だし…
全然、楽しくない。
「今年の文化祭は最後に風船を飛ばすらしいよ」
日比野の言葉に、さっきまでの憂鬱な気持ちが吹き飛んだ。
「え!?風船?どう言う事?」
「風船に、皆の願いを書いて飛ばすイベントがあるらしい」
「わぁ!素敵!」
文化祭委員…良い仕事するわね…!
それは楽しみだわ!
口元が緩む私を見て、
「そう言えば…」と日比野が続ける。
「柏木さんのお母さんと、俺の母さん…来週ネズミーランドに行くらしいね」
「は?聞いてないわよ」
「先週は柏木さんのお父さんと、俺の父さんでゴルフに行ったらしいよ」
「それも知らない」
うちの両親と日比野の両親…
コミュニティ能力が高すぎる。
ってか、何で娘の私が知らない訳?
「パパとママったら…私にも教えてよね!そう言えば最近、お兄ちゃんにも会わないし」
「柏木さんのお兄さんなら、うちの家に連泊しているよ」
「はぁ!?」
「毎晩、お兄さんが持参したゲームで遊んでいるよ。父さんが」
「ご、ごめんねぇ!うちの馬鹿兄が!!」
「ううん、楽しいから大丈夫」
「…」
あの馬鹿兄!!
私でも日比野の家に泊まった事、一回しか無いのにぃ!!
「柏木さん?」
眉を寄せた私を見て、日比野が首を傾げる。
もう!ほら、あざと可愛い!!
「どうしたの?何か言いたい事があるの?」
日比野に聞かれて、はっ!と思い出した。
私ってば…忘れていたわ。
文化祭を日比野と回りたかったのよ…
「ねぇ…日比野」
「何?」
「文化祭…さ」
「?…うん」
「自由時間、一緒に回らない?」
「えっ」
え…
何その驚いた顔。
珍しいわ…
「…もちろん良いよ」
日比野はいつも通り、
とぼけた表情に戻って頷いた。
…一緒に文化祭を回ってくれる…けど
何だかモヤモヤする。
何で一瞬、驚いたの?
もしかして…
私と一緒に文化祭に行くの…嫌だった?
コメント
9件
会話のテンポの良さと作品の雰囲気はノベルになっても健在ですね!読んでてとてもほっこりします。続き、楽しみにしていますね!
初コメ失礼します!!!!日比野くんシリーズ全部読み切ってしまいました!!!!柏木さんと日比野くんの会話や展開に引き込まれました!!!!!フォロー失礼します!!!続き楽しみにしてます!!!
日比野くんと柏木さんペア最高です😭👏💕 柏木家と日比野家、家族で仲良しなの羨ましいです✨ 確かに一瞬驚いた顔をされると少しモヤッとしますよね…… 続き楽しみにしてます!!