もうすぐ文化祭…
毎日、文化祭の準備に追われている。
普通ならワクワクする日々のはずだけど、
私はモヤモヤがMAXだ。
何よ…日比野のやつ…
私と文化祭を回るのが嫌な訳?
あの顔…あの驚いたような…あの…
「あぁ!腹立つ!!」
「わ、びっくした!桜子…大丈夫?」
突然の私の怒りに、
隣で作業をしていた里奈が驚いている。
「別に…何でもない」
「もしかして日比野君の事?」
「え!?」
図星をつかれて思わず里奈を凝視する。
そんな私を見て里奈が溜息を零した。
「梨里杏ちゃんでしょう?最近、日比野君と仲が良いよね」
「やっぱり!?里奈もそう思う!?」
「思うよ。この前もさ!…ぁ…何でもない」
「ちょっと!何!?気になる!」
「うーん…でも…」
「良いから言って!」
「…梨里杏ちゃんと日比野君…体育館裏で何かコソコソ話していたのよね」
「…っ」
私の頭の中で雷鳴が轟く…
人通りの少ない体育館裏で…密会?
ショック過ぎる…あ、泣きそう。
「ごめんね桜子!聞きたくなかったよね?でも、ただの悩み相談かもしれないし…」
「ううん…良いの…私達、両思いって訳じゃないし」
自分で言って虚しくなる。
…そうよ、
日比野は私の事なんて好きじゃないもん。
悲しいわ…
「…模造紙が無いわね。私…用具室に行ってくる」
「桜子…」
里奈が心配そうに声をかけてくれる…
けど、
今は何も話したくない。
文化祭の仕事を言い訳にして、
用具室に行こうとすると…
「一人で用具室に行くのは止めた方が良い!」
北野君が現れた。
「…ごめんなさい。今は相手にしている余裕が無いわ」
「桜子ちゃん!ひどい!」
私と北野君の茶番を見ながら、
里奈が首を傾げる。
「どうして一人で用具室に行ったらダメなの?」
「里奈ちゃん!良い質問だ!」
「…そ、そう?」
「実は…用具室には怪談話しがあるんだ」
怪談…?
私と里奈が顔を見合わせると、
北野君は更に得意そうに続けた…
「用具室に一人で行くと…女子生徒の幽霊を見るって噂…」
「やだ!怖い!」
北野君の低いトーンに、
里奈が小さく悲鳴をあげる。
「そんな噂、知らなかったわ」
「2、3年前に出てきた新しい噂だからね!」
「嘘じゃなくて?」
「それが…今年も目撃した人が居るのだよ」
「…ぇ」
北野君の言葉に思わず息を呑んだ。
目撃?…幽霊を?
「誰が目撃したの?」
私の問いに、北野君はニヤッと笑って…
「隣りのクラスの寺島君さ」
と、自信満々に言った。
寺島君って…
日比野の親友の…寺島竜太君?
思いも寄らない展開に、
私と里奈は再度顔を見合わせた。
コメント
7件
今回の謎は用具室に出る幽霊、ですか……。しかもそれを見た人が寺島くんなんて……🙄🙄 それよりも!!日比野くんと体育館でコソコソと……!!そんな話を聞いたら柏木さんも嫉妬やショックを受けますよね……💦 続き楽しみにしてます👀✨