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それから暫くして再び園内に戻った俺たちは、四人一緒に回る事に。


二人の意見を交互に聞きながら、乗りたい、したいという事を極力叶えてやる。


夕方になって陽も傾き掛けた頃、流石に遊び疲れたのか、海里と星奈は眠そうに目を擦っていた。


「それじゃあ、そろそろ帰るか」

「そうですね」


俺が海里を、環奈が星奈を抱き上げて帰ろうかと話していると、


「やだ、まだあそぶ!」

「せいなも、まだあそびたい……」


眠そうにしているくせに、『帰る』という言葉を聞くと何故か遊びたがる二人。


こういう時ばかり、二人の意見は被る。


「けど、お前らもう眠いんだろ? 別に今日しか来れない訳じゃねぇし、無理に遊ぶ必要ねぇって」

「やだ! まだのる!」

「せいなものる!」


とは言え、見た感じ二人の眠気はピークを迎えつつあるから、並んでる途中で眠ってしまい結局乗り物には乗れなさそうだ。


困り果てる俺に環奈は、


「万里さん、それじゃああれに乗りましょう。あれなら、二人が眠ってしまっても大丈夫ですし」


観覧車を指差しながらそう提案した。


「観覧車か。そうだな、それなら寝てても問題ねぇわ。よし、海里、星奈、観覧車に乗るぞ。今なら景色も綺麗だし、きっと気に入るぞ」

「かんらんしゃ? あの、おっきいやつ? せいな、たかいのこわい……」

「ゆっくりで、なんかつまらなそう……」


海里と星奈は観覧車に興味が無いようで、あまり乗り気ではない。


「せっかく来たんだし、まだ乗ってない乗り物の方がいいでしょ? それに、ママは観覧車好きだから、乗りたいな」


渋る二人に環奈がそう声を掛けると、


「ママがのりたいならいいよ!」

「うん! おれものる!」


環奈が好きだと言ったからか、二人はコロッと意見を変えて、最後に観覧車に乗る事に決まった。


子供向けの遊園地とは言え、観覧車は結構大きく高さもある。


皆考える事は一緒なのか、他のアトラクションに比べると待機列には結構な人数が並んでいた。


二十分程で順番が回ってくると、ゴンドラに乗り込んだ海里と星奈は向かい合わせに座り、早速窓の外に視線を移す。


「すごい、ゆっくりだね!」

「うん! ゆっくりあがってる! すごい!」


意外と気に入ったのか、二人は機嫌良く会話をしながら楽しんでいる。


「そういえば環奈、お前体調は平気なのか?」

「え?」

「あの後も何度か優れない時、あったろ?」

「……気づいていたんですか?」

「当たり前だろ。まあ、そこまで酷くはなさそうだったし、お前も言ってこないからその話題には触れなかったけど。しんどい時はすぐに言えよ?」

「はい。でも本当に、そんなに大袈裟な事じゃないですから、心配しないでください。このところ寝つけない事も多いから、そのせいかも」

「悪いな、俺がもう少し早く帰れればいいんだけど、最近店も忙しくて……」

「ううん、気にしないでください。お仕事ですから。私なら大丈夫です。星奈も海里も喧嘩する事は多いけど、お手伝いしてくれる事もあるし、二人が居て、助かってますから」

「そうか」


初めての育児だし、双子の面倒を見るのは大変だろうに、環奈は弱音一つ吐かない。


俺はそれが不安だったりするけど、環奈が大丈夫だと言うなら、それ以上何も言わないつもりだ。


「パパ、ママみて!」

「すごい! あっちのほうキラキラしてる!」


いつの間にかだいぶ上の方まで上がっていたゴンドラ。二人の声で窓の外に視線を向けると、ビルの明かりやら車のテールランプやらがイルミネーションのように光り輝いていて綺麗な景色が映し出されていた。


「本当、綺麗だねぇ」

「そうだな」


やっぱり、締めに観覧車っていうのは良いものだ。


綺麗な景色と共に、大切で愛おしい三人の嬉しそうな笑顔まで堪能出来るから。



暫く景色を眺めていた二人だけど、ゴンドラが下に下がっていくにつれて眠気が襲ってきたのか、観覧車を降りる頃には二人共眠ってしまい、それぞれを抱き上げた俺と環奈は車まで戻って来て二人をチャイルドシートへ乗せると、ようやく一息吐けた。

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