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「FORSAKEN」の夜空を疾走する冷ややかな風を突き破り、影がひとつ、音もなく舞い降りた。
無駄に洗練された紳士的な所作で滑空するのは、黒いハチワレ模様の猫獣人・Mowl。
左目のモノクルを月光に光らせ、胸の黄色いリボンと黒い翼を風になびかせている。
本来なら可愛らしい黒白の猫頭部を持つ彼だが、今はスペクターから授かった能力で体だけを大型のフクロウへと変身させ、鋭い猛禽の爪を剥き出しにしていた。
「ターゲット確認。スペクター様のゲームを乱す不心得なドブネズミ……紳士として、迅速かつエレガントに狩らせていただきます!」
上空から一直線に急降下するMowl。その影が、地上で呑気に発電機を弄っていたRatを包み込む。
しかし、サバイバーの枠を逸脱したマッドサイエンティスト・Ratの耳は、風の微かな切り裂き音を逃さなかった。
サングラスを指先でクイッと押し上げると、赤手袋と黒手袋を装着した両手で即座に手元の小型装置を起動させる。
「ほう、上空からの強襲かい? 物理法則に従った実に見事なアプローチだが……甘いね!」
直後、Ratが足元に設置していた高周波超音波トラップが作動。
超高音の振動波が円形状に広がり、鳥類特有の鋭敏な三半規管を直撃した。
「なッ……ぐあぁぁぁっ!?」
急降下していたMowlは空中でありえないほどの眩暈に見舞われ、勢いを殺しきれずにコンクリートの床へもつれるように落下した。
黒い翼が泥に汚れ、モノクルが危うく外れかける。
「ゴホッ、ゴホッ……な、何ですか今の無作法な攻撃は! 紳士に対する敬意というものが――」
「素晴らしい! 誠に素晴らしいよ、Mowlくん!」
Mowlが態勢を整える間もなく、歓喜に満ちた叫び声が響いた。
立ち上がろうとしたMowlの視界に飛び込んできたのは、長いピンクのしっぽを激しく振るわせ、狂気的な笑みを浮かべて迫ってくるRatの姿だった。
「猫の頭部を保持したまま、解剖学的に全く異なるフクロウの鳥類骨格へと瞬時に変形するそのメカニズム! 質量保存の法則はどうクリアしているんだい? 翼の羽毛はケラチン組織の変容か、それともスペクターの魔力による局所的な空間歪曲か!? ああ、今すぐその胸の黄色いリボンを解いて、胸筋と手羽の結合部を解剖・観察したい!」
Ratは右手の黒手袋をパンッと鳴らし、白衣から巨大な注射器と怪しく光るメスを取り出すと、ネズミ特有のすばしっこい動きでMowlへ躍りかかった。
「ひっ……!? な、なんですかその目は! やめなさい、近寄らないでください!」
いつもはGatitoと共にサバイバーを追い詰める側のMowlだが、目の前のネズミから放たれるのは殺意ではなく、純度100%の「異常な解剖欲」。
猛禽類フクロウの巨体でありながら、恐怖のあまり「にゃあああっ!?」と情けない悲鳴を上げて後ずさる。
「逃げないでくれ! ほんの少し、胸骨の形状を確認させてもらうだけだ! 痛くしないよう麻酔薬も特大ボリュームで用意してあるからね!」
「冗談ではありません! 私の身体はスペクター様から賜った高貴なもの! あなたのような狂ったネズミに切り刻まれてたまるかーっ!」
バタバタと大きな翼を羽ばたかせ、上空へ逃げ延びようとするMowl。
しかしRatは、自身が開発した粘着性ワイヤープランチャーを射出し、フクロウの脚を捉えようと追撃の手を緩めない。
「待つんだMowlくん! 科学の発展に犠牲はつきものだろ! 君のフクロウ化の構造が分かれば、Gatitoの透ける肋骨との相乗効果でさらに面白い実験ができるんだから!」
「Gatitoさんの名前をそんな変態的な文脈で出さないでくださいッ! 助けてくださいスペクター様ぁぁぁ!」
空高く逃げ惑う紳士フクロウと、注射器を掲げて地上から猛スピードで追いかけ回す狂ったネズミ。
城プル
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#azure
ゆ♨️
133
#1x1x1x1
ゆ♨️
476
99
FORSAKENの夜空に、あまりにも情けないキラーの悲鳴がどこまでも響き渡っていた。