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数日たって、私がかばった女の子とその両親がお見舞いに来てくれた。
「本当に、ありがとうございました。」
女の子の両親には、何度も、何度もお礼を言われ、謝罪をされた。
私がかばった女の子は、軽い打撲程度で済んだようで、本当に良かった。
けれど、女の子は責任を感じているようで、ずっと暗い顔をしていた。
「お姉さん、ごめんなさい・・・」
今にも泣きそうな目で、じっと我慢をしている姿がいじらしくて、女の子の両親に席を外すことをお願いし、女の子と二人きりになった。
「ねえ、あなたの名前はなんていうの?」
そんな泣きそうな顔をしないでほしい。あの日の笑った顔が、私の脳にこびりついているから。
うらやましいくなるらい素敵な笑顔が、こんなグズグズな泣き顔に泣ているところを、私は見たくないから。
「り、お」
りおちゃんは、小さな口をパクパクさせながら、自分の名前を言う。
「霧島、りお」
私の顔をじっと見つめながら、そう、言葉にした。
「りおちゃんか、素敵な名前だね。」
私がそういうと、少し、照れているような表情を見せるりおちゃん。
「ねえ、りおちゃん。」
「私ね、とっても嫌なことがあったの。」
私はゆっくり深呼吸をして、りおちゃんの目を見る。
「辛くて、苦しくて、もう消えたいと思った。」
「でも、りおちゃんの笑った顔を見て、素敵だなって思ったんだ」
本当に、一瞬の出来事だったけど、私は確かにうらやましく感じた。
屈託のない笑顔であなたが笑っていられる環境と、その笑顔に。
「それが消えることが、すごく怖かった。」
普段の私だったら、怖くて固まっていた。
でも、不思議と体が動いた。
「私、守りたかったんだ。りおちゃんのことを。」
消えたいと思うくらいには、追い詰められていた。
その理由が欲しかったっていうのは、全くないとは言わない。
でも、りおちゃんの笑顔を守りたかった気持ちに、嘘偽りなんてない。
「守れて、良かった。」
本当に、よかった。
私が話し終わると、りおちゃんは私の手を握った。
私よりも二回りも小さな手は、温かかった。
「お姉さん、ありがとお」
りおちゃんの目には涙が浮かんでいたけど、表情は来た時よりも柔らかく、私が初めて見た時と同じ、素敵な笑顔だった。