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一瞬、意味が分からなかったが、潤の真剣な眼差しと密着する体の熱に、何を言われたか気づいた。
返事より羞恥心が上回って口をパクパクさせると、潤の言葉が私の体の上に優しく降り注いだ。
「来年、結婚式を挙げる予定だし、知佳が部署の主任候補の道へとキャリアを考えているのも知っている。だから今までは避妊をしてきたけれど──今日は知佳を直接感じたい」
潤の思いを受け止めるかのように、ゆっくりと頷く。
「うん……今日は私もナシがいい。もし、赤ちゃんができても私は嬉しい」
「そんなの、俺も嬉しいに決まっている。知佳との子どもなら何人でも欲しい」
私もそうだと微笑み合う。
もう契約結婚じゃない。私達は本当の夫婦なのだ。子どもはいつできてもいい心づもりでいる。
「それでも仕事は、子どもができても辞める気はないよ。育休をバッチリ取って、働くお母さんでいたい」
私の母だってそうしてきた。
──しっかりと働いて、奨学金だけは絶対に潤に返したい。結婚指輪の金額も潤は「もういい」と言っていたけれど、私の気がすまない。
私だって、私が働いたお金で潤に何かしたい。
そんな想いはきっと、今の潤なら見透かしている。だからだろう、潤が小さく苦笑すると、私は潤の逞しい首に手を回した。
「知佳は本当に頑張り屋さんで、真面目で、可愛いな」
「それと、クールでしょ?」
いたずらっぽく呟くと潤はまた苦笑するが、すぐに笑みは消えて静かに眼鏡を外した。
「いや。知佳のクールさは、ベッドの上だとすぐにクールではなくなる。そんなところも可愛くて大好きだ」
「……うん」
言葉だけで、早くも胸のトキメキが加速する。
潤がサイドボードに眼鏡を置いて、きしっと軽く軋むベッドの音が部屋に響く。
薄暗くなる照明。私が足をもぞりと動かすと衣擦れの音がする。
いつもなら潤がそこで避妊具を取り出しやすく、ボードの上に幾つか用意する。
その行動は私しか知らない密やかなシーンで、それを見るのが好きだった。
けれど今日は潤の指先が避妊具に伸びることはなく、私へと真っ直ぐに伸びてきて、早くもお腹の奥が甘く疼き始めた。
潤とのセックスは、ゆっくりと濃厚なキスから始まった。
柔らかな唇が何度も触れ合い、唇の輪郭を確かめるように、ちゅっと甘い音が鼓膜を震わせる。
吐息を深く吐いた次の瞬間には潤の舌が口内の奥深く、ぬるりと侵入した。
「……んっ、ふっ」
舌を吸われ、歯列まで潤の舌が丁寧に、時に激しく捉えていく。
潤が言った通り私はすぐに冷静なんかではなくなり、キスの喜びに体を委ねた。
唾液が交わり、艶っぽい水音が部屋に響き渡るたびに私の羞恥心は跳ね上がった。
しかも潤の手は私の耳たぶをふにふにと触ったり、腰のくびれやお腹をやさしく撫でる。キスは激しいのに、手の動きはどこまでも優しい。
その優しい動きは、肌の下に眠っている熱を起こすようなもどかしさで、欲望を深く煽っていく。
お腹の奥がキュンと切なく疼き、つい腰を揺らしてしまう。
「あ、っ……うっ」
わずかに潤の唇が離れた瞬間に酸素を吸い込み、はぁはぁと息を乱す。
「知佳、もう顔が蕩けているじゃないか。体温も熱いな」
「だ、だって、潤が触るから……」
「撫でているだけで感じてくれるなんて、知佳はすっかりいやらしくて、愛らしくなった」
「っ……!」
「でも、まだまだ感じられるだろ?」
つつっと、潤の手が私の内ももを撫で上げ、首筋を甘噛みしてきた。首筋に感じる湿った柔らかな舌の感触と歯の硬さ。
内ももを指が遠慮なく弄る上と下のそれぞれの刺激に、また体温が上がっていく。
「あっ、ぁんっ」
「ほら、もっと声を出して」
しゅるっとガウンの帯を解かれ、一瞬だけ素肌にひんやりとした外気を感じる。
同時に、下着が潤に丸見えになってしまった。
今日の下着、黒で少しセクシーにしたけれど潤はどう思うかな……と考えているうちに、すぐに肌が上気した。
潤が首筋を舐め上げながら、「今日の下着は黒でセクシーだ」と褒めてくれた。
それだけで胸がいっぱいになり、着て良かったと思う。
そして内ももにあった指先が上へと登り、しなやかな指が下着の上からゆっくりと、恥丘をねっとり撫で始めた。
「んんっ……ん」
決して深い部分には届かない指先。
指先がほんのわずかに下がれば──と思うのに、潤は「綺麗な下着だね。触り心地もいい」と、やわやわと下腹部を揉むばかり。
胸への愛撫もブラ越しでの刺激ばかりで、一番敏感な部分には一切触れてこない。
胸の形を確かめるように手で中央にぐっと寄せたり、上へと持ち上げたり。
わざとブラで硬くなった先端を擦るような動きに、ブラの下で私の胸の先端はぴんと立ち上がり、じんじんと熱を孕むほどになっていた。
──もどかしいことこの上ない。
「ぁあん……もう、だめ。潤、お願いっ、直接触って……!」
恥ずかしいお願いにも潤はくすっと笑い、「まだだよ」と私の敏感な場所を避けて、体をじっくりと撫であげ揉むだけ。
優しくて緩やかに全身をマッサージするような愛撫に、私はたまらず涙目になる。
腰を揺らせば、下着の奥から密やかな音が漏れているのに、潤は知らないふりをする。
はぁはぁと息が上がってきたところで、潤が私の額にキスをした。
「おねだりは早いんじゃないか? 俺はまだ知佳をもっと甘く蕩けさせたい。今日は直接知佳の中に入るから、念入りに知佳の体を解さないとな」
その言葉に私がもどかしくて体を捩り、潤に縋りつくと、潤は「じゃあ、少しだけ」と言いながら、指先を秘所へと向けた。
「あ……」
やっともどかしい刺激が終わる。それだけで体がふるりと震えた。
そして潤の長い指が下着の上から、ゆっくりと割れ目を擦り上げ始めた。
潤の指が上下に動き、割れ目にぐっと沈み込むたびに、ちゅにちゅと甘いやらしい音が部屋にこだまする。
「あぁっん……!」
焦らされすぎたそこは、ほんのわずかな刺激にも体が震えるほどの快感を生み出し、背筋がのけぞる。気持ちがいい。
もっと深い刺激が欲しい。
直接触ってほしい。
頭からではなく、お腹の奥からの欲求が切ない。
なのに──潤の指先は蜜壺から溢れた蜜を下着のクロッチ部分で丁寧に拭うような、おっとりとした動きをする。
たまらず私が背中をしならせると、指先は蜜壺の周りで円を描くように動く。
決して中心には触れない。
濡れた指先は淫らに私を掻き乱しながら、ゆっくりとした動きをし続けた。
コメント
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うわあ、第41話、読み応えありました。避妊具をわざと使わない選択って、単なるエロ描写じゃなくて「本当の夫婦になった」という関係性の変化を象徴してるんですね。知佳の「仕事は辞めない」「奨学金は返したい」っていう意志の強さが、潤への愛情とちゃんと両立してるところが素敵だなあ。焦らす潤の技巧も絶妙だけど、それに応える知佳の心情の揺れが丁寧に書かれていて、二人の絆の深さを感じられるいい回でした。