ツグミの家に着いた。女の一人暮らしには少し贅沢なデザインマンションだ。腕の痛みはある程度引いたがマフラーには血が滲み出してきた。
「風間くん中に入って、救急箱とってくる」ツグミは救急箱と取り出し、傷口をみた。
「この傷は最近?」
「いやかなり前だ」
改めて見ると完全に閉じていた傷口が開いていた。ツグミは慣れた手付きで消毒し包帯を巻いた。
「ありがとう、慣れたもんだな」
「うん」
ツグミはキッチンにゆき、お湯を沸かす。部屋は白を基調にした、シンプルで整理されている。突然とはいえ全く散らかってなく普段から整理されているのだろう。ツグミらしい部屋と思った。
ツグミは暖かい紅茶をいれてくれた。
出血騒ぎもあり、ツグミの気持ちに対しての回答はウヤモヤになってしまった。
しかし、マフラーを外したツグミの胸元に輝くネックレス。これは紛れもないあの夜にプレゼントした、ネックレスだ。その話題に触れてしまえば、ウヤモヤになったことがまた、降り出しにもどってしまう。
気持ちの整理がついていない俺はネックレスの事は気づいてないフリをした。
そんな事ばかり考えるため、静寂な時間が流れた。
「そろそろ、帰るよ」
「あっ。。。うん」
俺は立ち上がり、コートを羽織りマフラーを巻く。
「連絡先、聞いてもいい?」
「。。。」
「傷口が気になるから、うちの病院で一度診察して」
「あぁ」
俺は何故冷たい印象を与えてしまう、態度をとってしまうのか、ツグミは以前と変わらず綺麗だし、やり直すこともきっとできるはず。
「これが、今の電話番号」
ツグミはワンギリした、このワンギリが途切れた2人の関係に大きな影響を与えるとも知らずに。
玄関の扉を開けようと取っ手に右手をかけたが、以前のように力が入らない。
左手で扉を開けて
「それじゃ、また、包帯ありがとう」
「これ変えのガーゼと包帯持って帰って」
そう言って俺は扉の外にでてツグミの部屋を後にした。
雪は本降りになっていた。マンションの下からツグミの部屋を見上げるとツグミは窓からこちらを見ていた。俺は軽く左手を上げ、降り積もる雪を踏み締めがら家路をたどった。
線路沿いを歩いて駅の方へ向かっていた。赤いド派手なコートに白いニット帽から金髪の髪を靡かせこちらに向かってくる女性。
「ん?姉御?」
俺は2.0の視力で30m先の女性を立ち止まりジーッと見つめた。
やはり京子だ、同じ駅が最寄りとは言えこんな深夜に鉢合わせるか?
「おぃネギ坊主」姉御が俺の名を叫ぶ。
元に戻ってる。。。花魁淵の時に人格が変わった京子がいつもの姉御に戻っている。
「どうしたんですか。姉御」
姉御は足元が悪い雪道をヒールでこちらに走ってくる。
「走ると転びますよ」
「はぁはぁはぁ」
姉御はそのままの勢いで俺に抱きついてきた。
🌟次回予告🌟ツグミとの再会で複雑な心境だった俺。帰り際になんと京子が現れ抱きついてきた。
京子の第一声は。。。そして再発した腕の傷は
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