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「宗親さんにしか反応しないの……嬉しかったり……します、か?」
ねぇ宗親さん。どうかもう一度ハッキリと聞かせて?
私の胸、今のままでもいいよ?って。
このままでも問題ないよ?って。
大好きな宗親さんから太鼓判を押されたら私、自分の胸のこと、好きになれる気がするから。
「もちろん! すごく嬉しいに決まってます。僕だけのものだって思わせてくれる春凪の胸、最高に愛しいです。だから――春凪ももっともっと自信を持って?」
言い終わると同時、胸の先端にチュッと唇を寄せられて、私はビクッと身体を跳ねさせた。
「気持ちいい?」
聞かれてコクコクとうなずいたら、宗親さんが心底嬉しそうにふんわり微笑むの。
(あ、これ、腹黒くない笑顔……)
その表情を見て、私は凄く嬉しくなった。
宗親さんが嘘偽りなく、本心から私の胸を気に入ってくれているんだって思えたから。
「宗親さんの心からの笑顔、見られるのは私だけだって自惚れても構いませんか?」
そっと手を伸ばして間近にある宗親さんの頬に触れたら、彼が一瞬だけ驚いたように瞳を見開いた。
「春凪には……僕の作り笑いと本当の笑顔の違いがそんなにハッキリ分かるの?」
聞かれて、今度は私が驚かされる。
「分からないと思ってらしたんですか?」
どんな些細な違いだって、見逃すはずないじゃないですか。
大好きな人の表情だもの。
そんな言葉は飲み込んで、私は宗親さんをじっと見上げてただ小さくうなずいた。
「……参ったな」
途端、フイッと私から顔を背けた宗親さんの耳が赤くなっているのに気が付いた私は、そのことにもびっくりしてしまう。
前にも笑顔の違いについて彼自身に指摘したことがあったけれど、こんな風にあからさまに照れられたのは初めてかもしれない。
そういえば宗親さん、どんな時でも感情を表に出してはいけないって育てられてきたんだっけ。
だとしたら……残念ながらご両親のご苦労は実らなかったことになるのかな?
少なくとも私の知っている宗親さんは、結構な割合で感情を顔に出しちゃう人だもの。
でもそれが、もしも私の前でだけだとしたら――。
私、宗親さんが心を許してくれているのかな?って思えてすごく嬉しいな?
「私、人の上に立つってことがよく分かっていないので絶対とは言えないんですけど――」
そう前置きをして宗親さんに声をかける。
「お外ではダメだとしても……家にいらっしゃるときぐらいはもっともっと素を出してもいいと思います。少なくとも私とふたりきりのときくらい、宗親さんには気負って欲しくないんです。――夫婦って……きっとそういうものでしょう?」
私がこのままでいいとおっしゃるのなら、それはそのまま宗親さんにだって当てはまると思うの。
「だから……〝参られる〟必要なんて微塵もないと思うんです」
宗親さんが私に言って下さったように。
「私、どんな宗親さんでもあ……、えっと……み、見捨てないでいられる自信がありますっ」
危うく「愛せる自信がある」と言いそうになって、慌てて別の言葉に置き換えた私は、熱を持った宗親さんの耳にそっと触れた。
途端宗親さんが一瞬だけ泣きそうな、それでいてどこかホッとした顔をして。
伸ばしたままの私の手に自分の手を重ねていらした。
そんな宗親さんを見上げて、私は続けるの。
「宗親さん、私、今すごく幸せな気持ちなんです。だから……えっと……お、OKです。その、……さっきのアレ……」
そこでゴニョゴニョと口ごもる私に、宗親さんが「さっきのアレ?」って腹黒ドSな笑みを浮かべて。
(もう! 絶対何のことか分かってるくせに! 意地悪!)
そう思いながらも、私は一生懸命頑張った。
きっと私が自分の意志でゴーサインを出すことは、宗親さんの中で大きな意味を持つんだと思ったから。
「だから……いい、です。きて……ください。私の中……、……って、――ひゃぁっ!」
言い終わるか終わらないかのうちに、両脚を宗親さんに抱え上げられた私は、思わず悲鳴を上げて――。
「まっ、待って、宗親さんっ。それ――」
恥ずかしい!って続けたいのに、
「春凪っ!」
って切なく名前を呼ばれたら何も言えなくなるじゃないっ。
宗親さんはそんな私の顔をじっと見つめながら、グッと隘路を割り開いて押し入ってくる。
それを感じた私は、驚きのあまり上げた悲鳴がそのまま嬌声に塗り替えられて。
「――ひゃぁっ、ああぁぁ、っ」
今、宗親さんと私、ひとつになれてる?
思った途端、キュッと膣内が締まって、それと同時、宗親さんも質量を増したのが分かった。
それを意識したら、まだ動かれたわけでもないのに下腹部がキュンキュンと疼くくらい気持ち良くなってしまった。
「あ、ぁんっ、それダメぇ……っ」
男の人と身体を繋げること自体は初体験じゃなかったはずなのに、男性と結ばれただけでこんなにも幸せな気持ちになれたのは初めてだった。
「宗親さ、っ」
――大好き……!
このまま揺さぶられたら、無意識にその言葉を口走ってしまいそうで怖くなった私は、宗親さんに手を伸ばして
「お願っ……キスして、くださ……」
危険な口を塞いで欲しいとお願いした。
宗親さんは私のお強請りに一瞬瞳を見開くと、次の瞬間には「だったら僕を欲しいって……分かるように口、開けてみせて?」って眉根を寄せる。
彼にこんな余裕のない表情をさせているのは他ならぬ私自身なんだって思ったら、凄く凄く嬉しくなった。
私は宗親さんの要望通り、「貴方が欲しくてたまらないの」という思いを込めて唇を開いた――。