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第19話 「毒華国」
紫がかった霧が地面を這い、空気そのものが刺すように冷たい。ここは毒の国。
一歩踏み間違えれば、笑顔のまま命を落とす場所。
「んー?」
岩の上で逆さにぶら下がりながら、つきのがこちらを見下ろした。
「つまり……俺と旅をしたいと!」
「あぁ!」
はるてぃーは迷いなく頷く。
「でも俺、旅とか嫌いなんすよねぇ~」
軽い口調。
けれどその目は、獲物を前にした蛇みたいに鋭い。
「いやいや、楽しめるって!」
「う~ん……でもな~」
わざとらしく首を傾げ、つきのは霧の中へふわりと降り立つ。
「俺、基本一人が好きなんで。
人と行動するの、めんどくさいんすよ」
「そう言われると困るな……」
はるてぃーが言葉に詰まった、その時。
「つきのー!! 久しぶり!!」
勢いよく飛び込んできたのは――ごんざれす。
「おぉ! ごんざ! 久しぶり! 元気だった?」
つきのの声が、一瞬だけ素に戻る。
「おう! 元気だ!」
「相変わらずうるさいなぁ」
「それ褒めてる!?」
二人の空気は、明らかに旧知のそれだった。
「ところでさ」
つきのが腕を組み、ごんざれすに問う。
「ごんざは……旅行くの?」
「そりゃそうだろ!」
即答。
「w」
つきのは吹き出した。
「相変わらず即決だなぁ」
「楽しいじゃん!
知らん国! 知らん敵!知らん飯!」
「最後いらなくない?」
「いらなくない!」
周囲が少し和む。
「でさ」
ごんざれすがぐっと距離を詰める。
「つきのは行かないの?」
「えっと……旅、苦手で……」
声がほんの少しだけ小さくなる。
「えぇ~? いこーぜぇ~」
「いや、でも……」
「おねがぁい……」
ごんざれすが両手を合わせ、上目遣い。
つきのの思考が一瞬止まる。
(……可愛い)
(いやダメだ、騙されるな)
(でも可愛い……)
「はぁ……」
深いため息。
「分かりましたよ。行きます」
「えっ!?」
一同が声を揃える。
「マジ!?」
「マジマジ!!」
ごんざれすが飛び跳ねる。
「ちょろ……」
誰かが小声で言った。
つきのは肩をすくめ、苦笑する。
「言っときますけど、俺、戦いになると性格変わりますよ?」
その瞬間、空気が一変した。
霧が濃くなり、足元の草が一斉に枯れる。
「泣いても知らないですから」
にこり。
その笑顔は、どう見ても善人のものではなかった。
たくぱんが一言。
「……毒の国の王子、か」
「王子とか言わないでくださいよ。
ただの、いたずら好きな人間ですから」
そう言いながら、つきのは一歩、仲間の輪に入った。
おまけ 「ちょろ は誰が言ったのか」
……それを言ったのは
山田。
しかも、 霧の中で 腕組んだまま、 めっちゃ真顔で、
「……ちょろ……」
ってボソッと。
一瞬、時間が止まる。
つきの、ゆっくり首だけ回して山田を見る。
「……今、誰が何て?」
山田、目そらさずにもう一回。
「ちょろ……やな?」
「山田ぁぁ!?!?💦」
「や、山田さん!今のは!」
「それ言っちゃダメなやつっす!!」
「え?でも確かに……」
「きゅーちゃん、追い打ちはやめてください……!」
つきの、数秒沈黙。
……からの。
「……はは」
低く笑って、
「いや、否定できないのが一番ムカつくですねぇ?」
にっこり。
毒霧、濃度アップ。
「……山田。あとで説教な」
「事実やろ?」
✨つきのが仲間になった(^^)✨
第20話 1/16 投稿予定