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「正一さん、初めましてこちらは善悪でござる! 今どんな感じなのでござるか? ピンチ? それとも大ピンチ? どうでござるか、どうぞ」
『こちら正一、初めまして善悪、こっちはですねぇ、んーピンチっぽいけど大丈夫そう、かな? 何分ここ聖域だからさ、悪魔とか手が出せないとかそう言う設定だからね、さっきチラッと覗いたんだけどニブルヘイムの悪魔っぽい感じの奴らが数千体、ギュウギュウにクラック内に詰まってるね、もう密だよ密! お互い手が出せない状態だねー、多分ここから動けない様にするのが目的なんじゃないかなー? 理由は分からないけどね…… まあ、そう言う事だからこっちは大丈夫だよ、そっちで出来る事を進めていてね、どうぞ』
コユキが話に割って入った。
「コユキよ! 聖域って言ってもあの古惚けた小屋なんでしょ? 本当に大丈夫なの? どうぞ」
『小屋って……』
ビキビキビキッ! バキバキッ! ガラガラガラッ!
『あー、小屋潰れたね…… でも僕自身がご神体だから手は出せないんだよ、心配しないでいいよ、ちょっと悪魔達との距離が二センチくらいで不気味だけどね…… どうぞ』
大丈夫らしい、二センチと言えばかなりの濃厚接触だと思われるが、ゴッドパワー的な物で守られていると言うのならば如何なるウィルスも伝播する事は無いのだと思う。
コユキも同様に考えたのだろう、ホッと息を吐いて正一に話し掛けた。
「大丈夫ならいいんだけど…… ところでびっくりしたわよ、突然存在の絆経由で話し掛けて来たからさ! それに皆にも聞こえるって不思議な感じじゃない? こんなの出来るのね? どうぞ」
正一ことオハバリは事も無げに答える。
『ああ、それはね、俺決めたんだよね、そっちサイドの味方しようってさ、んで味方に伝えようとしたらこうなったって訳なんだよ、どうぞ』
「えっ? でもそれだったらこの前会った時に出来る限りの事してくれるって言ってたじゃないの? それと今何か違うの? どうぞ」
『…… あれからライコー達四人とみっちり話し込んでな、俺達はレグバの爺(ジジイ)共と違う道を行くことにしたんだよ、古い昔馴染みとも話し合ってな、お前たち二人の道は俺が轟音と雷撃で無理やりにでも切り開いてやろうって決めたんだよ、だから完璧な味方って事になったんじゃないかな? それで絆が繋がったんだろう! んまあ取り敢えず爺共の選んだ運命に従って行動していてくれ! 必要な時が来たら俺もそっちに合流するからさ、おけい? どうぞ』
「そうなの…… 心強いわ、ありがと、オハバリ様、どうぞ」
『大船に乗った気でいていいぞ! なにせ勝利の神だからな、俺って! ははは、どうぞ』
「そうね、どうぞ」
『だろう、どうぞ』
「うん、どうぞ」
『ああ、どうぞ』
「……」
『……』
「えっと、切って良いわよ、どうぞ」
『お、おう、んじゃな! オーヴァー』
オハバリ、正一との有意義な会話は終わった。
内容を要約するとこっちの事は気にすんな、俺は元気だお前も頑張れ、そんな所だろう。
そんな事を考えていると善悪のスマホが着信を報せ、通話した善悪がコユキに振り返って言うのであった。
「結城氏と秋沢氏、正一さんの声に驚いて仲良く茶畑に突っ込んだそうでござる…… レッカーの手配と一旦こっちに戻りたいそうだから迎えに行ってくるね…… ドテラ探しはその後でござるよ……」
「あー、んじゃあ饅頭でも食べて待ってるわね、晃君と光影さんも食べてくでしょ? おいでナガチカ君」
ぞろぞろと居間に向かって移動する面々。
結局もう二日合宿的な生活を延長した後、コユキは善悪のドテラを抱えて北海道へと飛び立って行ったのであった。