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今日の授業はバスケットボールだった。
運が良いのか悪いのか
ペア練習で僕と天馬くんが組むことになったのは、ほとんど必然だったのかもしれない。
「水瀬、やろ」
当然みたいに天馬くんが隣へ来る。
「……う、うん」
ボールを受け取りながら、こっそり周囲の様子を伺う。
案の定、女子たちがひそひそと騒いでいた。
「天馬くんとペアいいなー」とか
「変わってほし~」とか
そんな声が刺さるように聞こえてくる。
……そりゃそうだ。
天馬くんは、どこにいても目立つ。
背も高いし、運動神経も抜群で、誰とでも太陽みたいに笑って話せる。
影の中に潜んで、ひっそりと息をしていたい僕とはあまりに違う世界の住人だ。
けれど天馬くんは、僕のそんな卑屈な思考なんて知らなくて、軽やかにパスを回してくれる。
それなのに、僕は運動神経なんて言葉とは無縁の人間だ。
ぎこちない動きで放ったシュートは、無情にもリングに嫌われ、あらぬ方向へと弾んでいった。
一方で、天馬くんは凄かった。
流れるようなドリブルで仮想のディフェンスを抜き去り
美しいフォームで次々とシュートを決めていく。
そのたびに彼の金髪が激しく揺れ
滴る汗が窓からの光を反射して、まるで青春映画のスクリーンを見ているみたいだった。
(……やっぱ、天馬くんは凄いな)
眩しすぎて、自分の惨めさが際立っていく。
彼と同じ景色を見ることなんて、本当は一生叶わないんじゃないか。
そう思って、自分の足元を見つめるように少しだけ肩を落とした、その時だった。
「ほら水瀬、もう一回打ってみ」
「……っ」
促されるまま、リングを見上げる。
高くて、遠い。
オレンジ色のリングが、僕を拒絶しているように見えた。
緊張で指先が震えながらボールを投げるけど、結果は変わらない。
ボールはリングを掠りもせず、空しく床に落ちた。
「あ……」
「惜しい惜しい」
次も、その次も入らない。
その横で天馬くんは、呼吸を乱すことすらなく軽々とシュートを決めていく。
シュッ、とネットが擦れる綺麗な音が僕の自信を少しずつ削っていく。
「キャーー!!!」
「今のスリー、やばくない!?」
周囲からは黄色い歓声が上がっていた。
(……やっぱり、すごいな。天馬くんは)
見惚れるくらいに様になっている。同じ人間とは思えない。
それに比べて僕は────
「水瀬?」
「…な、なに?」
「なんかまた変なこと考えてる?」
図星だった。
「べ、別に……」
「絶対嘘」
そう言って天馬くんは僕の後ろへ回る。
「えっ、」
次の瞬間
#シリアス