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狩り手

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狩り手

40 - 第40話 休め集え

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2024年12月24日

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薄暗い神域本部の廊下を、零の体がゆっくりと運ばれていく。担ぎ手は他の異能者たちだったが、彼らの表情には安堵と困惑が混じっていた。

「零様、これ以上無茶をされては…」

救護室の扉を開けながら、一人がため息混じりに呟く。

零は痛みをこらえつつも、うっすらと笑みを浮かべる。

「無茶? こんなの、ただの遊びだ。」

しかし、その声は明らかに弱々しく、いつもの威圧感はなかった。救護室のベッドに横たわると、医療スタッフが手早く治療を始める。

「渋谷…次はもっと楽しませてくれるだろうな。」

目を閉じる零の口元には、まだ薄い笑みが浮かんでいた。

一方、海沿いの崩れかけた小道では、南無が渋谷を担ぎながら歩いていた。その後ろには湊、石動、法師が足取りでついていく。

南無は渋谷の顔をチラリと見て、不機嫌そうに眉をひそめる。

「なんで毎回こうなるの? 渋谷、ほんと面倒くさい。」

湊が南無をなだめるように声をかける。

「まあまあ、渋谷さんは頑張ってくれたんだから。無事に帰れるだけでもありがたいよ。」

石動は小声で呟いた。

「でも、あそこまでやり合う必要あったのかな…。零って、どう見てもやばい相手だったし。」

法師が静かに答える。

「それが彼の流儀でしょう。それに、狩り手が追い詰められるほどの戦闘は滅多にない。彼がどこまで耐えられるか、私も興味深く見ていました。」

石動はその冷静な答えに驚きながらも、法師の穏やかな口調に納得するしかなかった。

狩り手たちは、傷だらけの渋谷を連れて本部へと戻った。教皇のいる部屋に入ると、南無が渋谷を降ろし、ため息をつく。

「もう、こんな重いの担ぎたくない。」

教皇は静かに椅子に座りながら、渋谷の状態を確認するように目を細めた。

「渋谷よ、よくぞ帰還した。だが、次は自分を見失わぬようにな。」

湊が一歩前に出て、教皇に向き直る。

「教皇様、渋谷さんは零と互角に戦いました。今後の戦略を練るうえで、彼は重要な情報になるはずです。」

教皇は湊の言葉にゆっくりと頷いた。

「ふむ…その通りだな。だが、渋谷一人ではなく、皆で支え合いながら次の一手を考えねばならぬ。零はまだ動く。次に備えよ。」

石動が控えめに手を挙げる。

「教皇様、でも具体的にはどうするんですか? 僕たち、次はどこに向かえばいいんでしょう?」

教皇の目が鋭く光る。

「次の動きはまだ定まらぬ。ただ、神域の真意を探る必要がある。」

その場に重い沈黙が漂う中、南無があっさりとした声で切り込む。

「なんでそんな大事な話、今まで言わないの? あと、港は骨折中だけど戦力になるの?」

その言葉に、教皇も少し笑みを浮かべた。

「お前たち狩り手は、常に準備を怠るな。今は休め。そして再び集え。」

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