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「……ぷは、」

コンソメスープうめぇ!野菜の旨味が骨身に沁みるぜ…!

「ドリンクバーあって良かったな」

「マジでな……」

既に3杯目だが新鮮に上手い。あ、やべこれ以上飲んだら酒に荒れた胃がダブルパンチ受けちゃう。…なーんて、コンソメだけにってか?あーっはっは!

「……テンション高すぎないか…お前、昨日ちゃんと寝たのか?」

「んーにゃ、路上に床寝」

「陽太郎……!」

弓弦が崩れた。なんだろう、今一番あいつの中で大人になった俺への評価が下がった気がする。

っていうか忘れてたけどそういや俺今ボロ雑巾のまんまじゃねえか。こんな様で公道歩いて、よく通報されなかったな…。

同じことを考えたようで弓弦も俺のことをまじまじと見つめ、

「……薄々思ってたが、お前昨日家に帰ってないだろ。服、着替えてないみたいだし」

「あぁ。記憶もあんまない」

「…………」

分かるよ、言いたいことは分かる。だからその顔はやめてくれ。その眼差しは俺ちゃん耐えられない。

「大体、そういう弓弦だって着替えてないだろ。俺の目は誤魔化せないぞ」

記憶ごっそり無いけど、そこは流石に分かる。 あんだけ飲んだんだ。頭の回り具合もどうせ五十歩百歩。ふふん、弓弦も追い詰めてやろう……。

「や、着替えたぞ」

手をこまねいて弓弦のボロを待っていたら、至極さらっと答えられてしまった。長年の勘で分かる。コイツ今全く嘘をついてない。

「へ?、で、でも同じデザインだよ…な?」

「あぁ。服は同じだが一度洗濯した。昨日と同じデザインの方が、陽太郎が俺だってすぐわかるかと思ってな」

「……マジ?」

すまんどうせ大体は俺と同じだろとか思って。こんなボロ雑巾も気遣えるイケメン度……流石の一言に尽きる。今一度惚れ直したよ。

弓弦、あんたが大将だ。

「また変な事考えてるだろ」

「変な……いや、弓弦は大将だなと」

弓弦は口に運ぼうとしていたハンバーグを一旦おろして、それが変なんだよとジト目をした。

が、直ぐに何か大事を思い出したらしい。あっと声を上げた弓弦はテーブルから身を乗り出して俺に詰め寄った。

「そうだった!俺、今日お前に聞きたいことあったんだった!だから来たんだよ!」

「え、そうなの?何…預金残高?」

「んなもん訊かねーよ!」

と、言われましても。記憶が飛んでいるせいで思い当たる節なんか皆無だし…。というか今は乗り出した弓弦の服の裾にデミグラスソースがつきそうで正直全然それどころじゃない!

「陽太郎、お前さ……」

「まっ、待て待て何訊きたいのか知らんが一旦落ち着け!服!裾!折角洗濯したのにパーになっちまうぞ!?」

必死に両肩を押して席に戻そうとするが、逆に両側からガシッと顔を捕まれ「聞けよ」と凄まれてしまった。ちらっと下を見る。……このポーズで固定されれば襟は無事だ。

「はい聞きます」

「よし聞け」

ふぅっと息を吹くように吐き出し、何やら神妙な面持ちで弓弦は口を開いた。

「…お前さ、

……俺のこと好き?」


ヒュッ、と音がした。一拍遅れて、それが俺の喉が呼吸に失敗した音なのだと気付いた。

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