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【プロローグ】
今日も、あの日のように雨が降っていた。いつもの公園で君を待っていた。もちろん君は来た。そして君は笑っていた。いつもの、太陽のようにまぶしい笑顔で。
その笑顔に、思わず笑みが零れる。だがなぜだろうか。君は悲しそうに見えた。突然、彼女が僕に抱きついてきた。拒む間もなく、僕は抱きかえしていた。君は泣いていた。何故泣いているんだろう。
瞬間、突然鋭い痛みが体を突き抜けた。生温かさが腹部から段々と全身に伝わっていく。いや、薄々気付いていたのかもしれない。いつかこうはるのだと、あの時にはもう、勘づいていたのかもしれない。自分の気持ちに嘘をついて、ずっと見て無ぬふりをしてきた。
涙が溢れる。それが、何の涙なのか、僕には分からなかった。君に伝えたいこと、伝えないといけないことは山ほどあるのに、言葉は出てこない。
だんだん視界がぼやけ、意識が薄れていく。かすかに見えた君は、震えながら泣いていた。あぁそうか。君も、同じ気持ちだったんだ、
震える声で、君は言った。
「大嫌い」