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「……………………」
「何か言うことはないのか?」
「雰囲気に流されたとはいえ、ちょっとやりすぎたかも……」
「ちょっとどころじゃねえだろ!」
ということで、殴るでも蹴るでも気が済むまでやればいいという仕返しを受けることに同意せざるをえなくなった。
でもおかしいな。セランティウスが会いに来たのは余に人の道を教え諭すためだったはずなのに、当初の目的はどこに行ってしまったのだろう?
さすがに人目がつく場所で制服を着た警官が女子高生を暴行するわけにはいかないようで、近くにあった空き地に連れて行かれた。いつか相川美紅たちに連れて行かれた空き地だった。誰かをリンチするための名所になっているのだろうか?
セランティウスの転生後の名は海瀬世羅。まだ二年目の警察官で、巡査という一番下の階級で交番勤務をしている。
勇者時代の戦闘力は世羅になっても引き継がれていた。繰り出してくる拳や蹴りに一切防御せず、まともに食らい続けた。口の中が切れて血の味がする。目の裏で火花が散っている。数え切れないくらい蹴られたせいで制服も泥だらけ。最強魔王の余がこれだけ一方的に攻撃を受けるのはもちろん初めての経験だ。
「本気で攻撃しまくってるのになぜ膝をつかせることさえできないんだ?」
好きなだけ余を攻撃できて気分がいいのかと思ったら、なぜか世羅は怒り出した。
「膝をつけばやめてくれるのか?」
「ふざけるな!」
望み通り両膝をついてみせたのに、かえって世羅の怒りに火をつけてしまった。人間の心理とは複雑なものだ。