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気が付いたら朝だった。屹度酒を呑んでいる内に眠ってしまっていたのだろう。
太宰が組織を抜けた彼の日から、俺は毎日酒や眠剤を呑んで、無理矢理眠る様になっていた。
彼奴が居なく成ってから眠る事冴え出来無い無能な自分に、何度嫌気が差した事だろう。
__ 嗚呼 、携帯端末が鳴っている 。出なくては
『 はい 。 首領 、 中原 です 。』
< ___嗚呼 、中也くん 。朝早く済まないね 。太宰くん が 捕まったんだ 。
今から本部に来て呉れないかな ? >
『 … 太宰 が ? 』
有り得ないと思っていた言葉に 、思わず首領の言っていた事を聞き返す 。
< 詳しい事は 後で 話すよ 。
____ 其れで 、頼めるかい ? >
其う云われて仕舞えば 、俺はもう従う事しか出来ない 。
『 ____ 首領 の 御命令 と 有らば 、なんなりと __ 』
電話口で首領が小さく笑った気配がしたが 、 ︎︎俺は知らない振りをした。
其の後は出来るだけ準備をし 、重力操作を駆使して本部に向かった。
『 失礼 致します 。首領 、中原です 。』
軽く三回程扉を叩き、了承を得た処で帽子を外し心做しか何時もより重く感じる扉を押す 。
< 急に呼び出して御免ね 中也くん 。電話で伝えた通り 、太宰君が 捕まったのだよ 。>
首領は困った様に笑い乍そう話す 。
『 はい 。聞いております 。其れで 、俺は如何したら 宜しいのでしょうか 。』
何となく解っては居たが 、余り信じたく無くて首領に判断を任せる事にした 。
< 四年振りの 再開だろう ? 彼と話しておいで >
嗚呼 、矢張り 首領 は 騙せない_____
『 よぉ 、糞太宰 。』
「 …ん ? 嗚呼 何かと思ったら 、蛞蝓に 会うだなんて … 全く 、私はとことんツイて無いね 」
『 … 手前は 、変わったな 。』
「 其う云う中也は 、変わらないね 。」
其う云うと太宰は 、四年前寄りかは少し大人びた 、けれども胡散臭さは消えぬ少し懐かしいと感じる表情で笑い掛ける。
お互い暫しの間無言と成る 。然し其の間に気不味さは無く 、寧ろ中原にとっては心が落ち着く様な心地好さすらあった 。
…驚く事に先に沈黙を破ったのは 、太宰であった 。
「 …. ねぇ 、久し振りに 家に行っても善いかい ? 君の料理が 食べたいな 。」
俺は 、其の言葉に頷きも断りもせず 唯一言___
『 勝手にしろ 』
すると太宰は 、
「 ふふ 有難う 。此処から出て 仕事を終わらせたら 、君の家に向かうよ 。」
と 、まるで初めから返答を解っていた様に笑うので 、思わず舌打ちをすると 、太宰は何故か嬉しそうな顔をしていて怒るに怒れなかった。
_____ 少しだけ 、ほんの少しだけ 、楽しみだと思ってしまった自分を許して欲しい。