テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
4件
読んで思ったままの感想は、自分の事を忘れても最愛のパートナー💚の事は忘れないで欲しかった🥺沢山の涙を流した💚だから苦しい思いは短い時間でもして欲しくないけど絶対ラストは何倍も幸せな終わり方になると信じてます。

😭😭😭😭朝から😭😭😭 立ち直ったのに又逆戻り でも根本の所はずっーと思って居るのかな。 🖤に普通の幸せを😭 早く記憶戻して… 続き待ってます♪
続き楽しみです😭😭😭
その日の夕方。
仕事を終えた阿部は、車を走らせていた。
今日は目黒の撮影が少し長引くと聞いていたため、そのまま迎えに行く約束をしていた。
「あと少しで着くかな。」
信号待ちで時計を見る。
目黒からはまだ連絡はない。
撮影が押しているのかもしれないと思いながらハンドルを握っていると、スマートフォンが鳴り響いた。
画面に表示されたのは、目黒のマネージャーの名前だった。
「珍しい……。」
阿部はすぐにウインカーを出し、安全な路肩へ車を停める。
深呼吸を一つして電話に出た。
「お疲れ様です。阿部です。」
『阿部さん……落ち着いて聞いてください。』
その声は、いつもより明らかに硬かった。
阿部の胸がざわつく。
『目黒ですが……撮影中に事故がありまして。』
「……え?」
『現在、救急車で〇〇病院へ搬送されています。』
その言葉を聞いた瞬間、頭の中が真っ白になった。
「じ、事故って……。」
『詳しい状況は私たちもまだ把握できていません。ただ、意識はあると聞いています。』
「意識は……。」
その一言だけが、かろうじて阿部の心を繋ぎ止めた。
『私たちも今から病院へ向かいます。阿部さんも来られますか?』
「行きます……!」
震える声で返事をすると、電話を切った。
スマートフォンを握る手が止まらないほど震えている。
「めめ……。」
事故。
救急車。
病院。
その言葉だけが何度も頭の中を巡る。
(お願い……。)
(無事でいて。)
阿部は震える手でシートベルトを締め直し、エンジンをかけた。
焦る気持ちは抑えきれなかった。
それでも、自分まで事故を起こしてはいけない。
目黒なら、きっとそう言う。
「安全運転……安全運転……。」
自分に何度も言い聞かせながらアクセルを踏む。
赤信号ではしっかりと止まり、前を見据えて車を走らせる。
胸の鼓動だけが、痛いほど速くなっていた。
(めめ……。)
(お願いだから……。)
(無事でいて……。)
阿部は祈るような思いでハンドルを握り締め、病院へと車を走らせた。
___________
病院へ到着すると、阿部は足早に病室へ向かった。
廊下には、目黒のマネージャーと佐久間の姿だけがあった。
「佐久間……。」
「あべちゃん。」
佐久間は安心したように立ち上がったが、その表情はどこか曇っている。
「他のみんなは?」
「今向かってる。」
阿部は小さく頷くと、震える手で病室のドアを開けた。
静かな病室。
規則正しく鳴る心電図の音だけが響いている。
ベッドの上では、目黒が眠っていた。
額には包帯が巻かれ、腕には点滴がつながっている。
その姿を見た瞬間、阿部の胸が締め付けられた。
みら

1,317
kaede🍁
5,620
NIKITA
121
#💛💜
みら

777
「……めめ。」
そっとベッドの横へ腰を下ろし、目黒の手を優しく握る。
しばらく少し冷たいその手を包み込むように握っていると、目黒がゆっくりと目を開けた。
「……。」
焦点の合わない瞳が少しずつ阿部を映す。
阿部は安堵したように微笑んだ。
「めめ……。」
すると目黒は、不思議そうに首を傾げた。
「……すみません。」
「あなたは……誰ですか?」
その一言で、時間が止まった。
阿部の笑顔が固まる。
佐久間も息を呑み、思わず声を上げた。
「蓮、それ——」
しかし、その言葉を阿部が静かに手で制した。
佐久間は驚いたように阿部を見る。
阿部は少し考えると、何事もなかったように優しく笑い、目黒の手をもう一度握った。
「大丈夫。」
「今は何も考えなくていいよ。」
目黒は申し訳なさそうに言う。
「ごめんなさい……。」
「どうしても思い出せなくて……。」
阿部は首を横に振った。
「謝らなくていい。」
「今日はゆっくり休んで。」
そう言って目黒の左手へ視線を落とす。
薬指には、大切な指輪が光っていた。
阿部は一瞬だけ目を閉じる。
そして震える指で、その指輪をゆっくりと外した。
目黒はぼんやりとその様子を見ている。
「預かっておくね。」
それだけ言うと、阿部は小さく微笑み、立ち上がった。
「また来るね。」
目黒は困ったように頭を下げた。
「ありがとうございます。」
その言葉が、阿部の胸を深くえぐった。
振り返ることなく病室を出る。
佐久間も慌てて後を追った。
___________
病院のロビー。
人の少ないベンチへ座ると、佐久間は堪えきれず口を開いた。
「あべちゃん……。」
「何で何も言わなかったの?」
「蓮に、『恋人だ』って。」
「それに……。」
佐久間は阿部の手の中にある指輪を見る。
「どうして指輪まで外したの?」
阿部は指輪をそっと見つめた。
目黒も阿部も、何度も眺めては幸せを感じていた、大切な指輪。
しばらく黙っていた阿部は、小さく笑う。
「めめ。」
「俺のこと忘れちゃった。」
その笑顔は、今にも泣き出しそうだった。
「だったら……。」
「無理に思い出させなくてもいいかなって。」
佐久間は目を見開く。
「あべちゃん……。」
阿部はゆっくりと言葉を続けた。
「このまま俺を思い出さないで。」
「めめには、新しい人生を歩いてほしい。」
「俺じゃない誰かと出会って。」
「恋をして。」
「結婚して。」
「子どもができて。」
「幸せな家庭を築いてほしい。」
佐久間は思わず立ち上がった。
「何言ってるの!」
「この前あべちゃん。」
「同じ事考えて痛い目に遭った事忘れたの?」
「ずっと一緒に生きていくんでしょ?」
「そんなの、蓮が望むわけない!」
阿部は首を横に振る。
「でも……。」
「めめに、これ以上俺との人生を背負わせたくない。」
阿部は指輪をぎゅっと握り締める。
「好きだから。」
「幸せになってほしい。」
「その相手が俺じゃなくても……。」
最後まで言い切る前に声が震えた。
佐久間は何も言えなかった。
目の前にいる阿部は、自分の幸せではなく、ただ目黒の幸せだけを願っている。
その優しさが痛いほど伝わってきて、胸が締め付けられる。
阿部は涙をこらえるように一度だけ空を見上げると、そっと指輪を胸に抱き寄せた。
「……めめには、笑っていてほしいんだ。」