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「なぁ瀬戸、無表情すぎるだろ。俺が隣にいるのに、まるで空気みたいじゃん」
海がわざとらしく肩を落とす。
柚希は横目でちらりと見て、短く言い放った。
「……事実でしょ」
「うわ、手厳しいな。瀬戸に嫌われたら、俺、立ち直れないかも」
冗談めかした口調。
いつもなら鬱陶しく感じて終わるはずだったのに、海の大げさな仕草が妙に可笑しくて、思わず唇が緩む。
「……バカみたい」
その小さな呟きに、海はにっと笑ってみせた。
気づけば、柚希の心の中にほんのわずか、冷たい壁を揺らす隙間が生まれていた。