今日はかわいいかわいい恋人とデートの日だ。
待ち合わせの2分前に到着すると、既に彼はそこに待っていた。手を振り声をかけると、少し姿勢を正してからこちらへ振り向く。身長差で必然的に上目遣いになるのがかわいい。
「おまたせ、おんりーちゃん。」
「……はい」
あれ、いつもなら全くですとか遅いとか楽しそうに軽口を叩くのに。元気ないのかな。
「…って、おんりー?」
「……なんですか?」
「顔、赤くない?」
珍しくマスクなんて付けてるし、これは確実にそうだろう。
「熱あるでしょ。」
黙り込んで目を伏せるおんりーにため息が出る。
「もおー……なんで来ちゃったのよ?寝ときなさいよ。」
「………たのしみに、してたので。」
「かわいいこと言ってもダーメ。今日はお家デートね?」
珍しくデレてくれたが駄目なものは駄目だ。病人を連れ回すわけにはいかない。
涙目なせいでだいぶ心が痛むが、ここで引くわけにはいかない。人としても彼氏としても。
「えっ…」
「ん?」
「いいんですか?」
「?なにが」
「家、ぼんさん、来てくれるの」
解散させられると思っていたのだろうか、不思議そうに見つめられて言葉に詰まる。
「…病人ほっとくわけにはいかないでしょ?看病よ、看病。」
「……はい」
なーんか、今日は張り合いがないと言うかやけに素直で調子狂うというか。おんりーのことは小生意気なところも含めて好きだけど、素直だとずいぶんかわいくなる。
「ありがとうございます」
…かわいいけど、やっぱ調子狂うなあ。
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