テラーノベル
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『………冷たい……』
そう言いながら川の中に足を入れパシャパシャ遊んだ
斗也兄さん達が学校に行ったタイミングで
家を出て、ここまで歩いてきた
外は暑いのか道行く人が半袖の服を着ている
暑いのも分からなくなっちゃったのかな
全然、暑くないや
……はぁ、家抜け出してきちゃったけど
大丈夫…だったかな……
見つかったら、また殴られそう…
けど不思議と怖くない
これから消えるからだろうか
私は次に川に身を投げた
流れはそう早くないのか
普通に立っていられた
『………冷たさは、分かるんだな…』
❤️「何してるの!?」
グイッと川から引き上げられた
引き上げられ
私は引き上げてくれた人の腕の中に
すっぽりとハマった
『…………』
❤️「川遊び!?危ないからダメ!!」
『…………へ……』
❤️「いくら……こんなに暑いからって………川に入るのはダメだよ!お母さんにそう教わらなかったの!?教わってないにしても入ったら危ないってこと分かるでしょ!?」
『………ごめん……なさ……ぃ……』
私を引き上げてくれた人は
とても汗をかいていて
そんなに暑いんだ、と初めて知った
💙「莉犬く〜ん急に走らないでよ〜」
❤️「あ、ごめんころちゃん」
『??』
💙「ただでさえ暑いんだから走らせないでよ〜…………その子誰?何でバックハグしてんの?」
❤️「この子、川に入ってたから引き上げたの」
💙「はぁ!?川!?何してんの!?馬鹿なの!?」
『………………』
この人も汗をかいていて
服の裾で汗を拭いながら
私に注意にしてきた
💙「いーい?いくらこんな炎天下の中でも川に入るなんてことやっちゃダメだよ!」
『………………』
❤️「ころちゃん、それさっき俺言ったから。ていうか君」
❤️「なんでこんなにボロボロなの?」
『………………殴られてたから………服も……買って貰ってない………お母さんから貰ったものを…大事に着てる………』
❤️💙「え………」
2人は言葉を失ったのか、何も喋らなくなった
だけど、私を抱きしめてる人は
抱きしめる力を強めた
❤️「嫌じゃ……ないの?殴られるの…」
震えた声で私にそう聞いてきた
『………平気……痛くない………』
❤️「ッ………平気…じゃないでしょ…ダメだよ、そんなの……」
『…………どうして……ダメなの?』
❤️「そんなの…虐待じゃん、そんなのダメだよ、もしかして君、もう痛み感じないの?」
『痛み………?』
❤️「…………これ痛い?」
そう言って私の頬をつねった
『……………何してるの?』
❤️「……………痛くないの?」
『うん………痛くないよ』
❤️「……………」
再び何も喋らなくなってしまった
その時、4つの足音が聞こえてきて
そっちに視線を向けた
💜「莉犬くん達遅いから心配したよ。何してるの?」
❤️「あ、なーくん…」
💗「ん〜?莉犬兄、なんでその子抱きしめてんの?」
💛「誰ですか?」
❤️「あ、そうだ名前聞いてなかった、君、名前は?」
『……名前………………』
いつかお母さんが呼んでくれたその名前
最近は[雑用]そう呼ばれてるから
名前を忘れてしまった
お母さんが仕事忙しいから中々帰ってこない
だから、名前を呼んでくれない…
『………分かんない……』
💙「名前、分かんないの?!」
大声を出されて思わずビクついてしまった
そしてカタカタと震えた
自分でも分かんないくらい
何故か冷や汗が出る
🧡「兄ちゃんが大声出したからその子ビビってるやん」
💙「え、あ、ごめん」
『え………………あ…………………』
❤️「名前分かんないか〜。なら俺が君に名前付けていい?」
💗「はぁっ!?」
💜「えぇ!?」
💛「莉犬兄?いくら名前分かんないからってそれは…」
💙「いいんじゃないの?」
❤️「うん、じゃあねー」
❤️「君の名前は───」
その後、家に帰った私は
帰宅していたお母さんに
今までされてきたことを話した
お母さんは「気付けなくてごめんね」と
たくさんたくさん謝った
その姿を見て、私は初めて涙を流して
お母さんと一緒に泣いた
そして、お母さんは前のお父さんと
話しをして、離婚、という形になった
お母さんと2人でアパートで暮らして
約2年後に、お母さんは再び再婚
少し呆れたけど、今度は大丈夫かな
と不思議と思えた
それでも新しいお兄ちゃんに会うのは
少し嫌だった
過去編終了〜
え?莉犬くんが言った名前が気になるって?
それは次回のお楽しみ〜
じゃおつれも〜🍋🍋
コメント
1件

続き楽しみです。 投稿頑張ってください!!